温雅[語句情報] »
温雅
「温雅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温雅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
君で、アリーナ・セミョーノヴナ・ビェロヴリューシコワという、世にもめずらしい善良
温雅な婦人が佇《たたず》んでいた。そこで産婦に向かって、モーキイとするか、ソッシ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の動力としてはたらいたためである。訳しながらも時々この二〇年の昔に見た童顔に浮ぶ
温雅な微笑を思い浮べるのであった。 この書の翻訳としては先に亡友一戸直蔵君の『....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
が、四、五人の楽壇関係者らしいのを従えて待っていた。ところが、法水の顔を見ると、
温雅な彼女にも似げない、命令的な語調で、セレナ夫人が云い出した。
「私どもは明瞭....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
い人だ。彼が江戸の方へにげ帰ったあとで、彼に謁見した外国人もあるが、いずれも彼の
温雅であって貴人の体を失わないことをほめないものはない。今こそ徳川は不幸にして浮....
「青衣童女像」より 著者:寺田寅彦
らせていたころの事である。こういうものに比べて見たときに、このいわゆる「油絵」の
温雅で明媚な色彩はたしかに驚くべき発見であり啓示でなければならなかった。遠い美し....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
尾の道までの車窓の眺めだ。一体、東海道線から山陽線にかけては素晴らしく平凡にして
温雅な風景が続き過ぎるようだ。 そのうち、ことに平凡な播州平野の中に石の宝殿と....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
、お互に賞讃し合い遠慮し合い意気地のない好人物|揃いであったとしたらしかも安全と
温雅を標語としたら、随分間違いは起らないかも知れないが地球は退屈のために運行を中....
「追憶の医師達」より 著者:寺田寅彦
の茶の湯の友達であった。たしか謡曲や仕舞も上手であったかと思う。若先生も典型的な
温雅の紳士で、いつも優長な黒紋付姿を抱車の上に横たえていた。うちの女中などの尊敬....
「レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
「彼が人々の研究を鼓舞し、また自分の仕事の援助者を得るに成効した所以は、主に彼の
温雅な人柄と、人の仕事に対する同情ある興味とであった」。彼はこの教授としての仕事....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いたが最早十年も昔のことである。忘れていたといっても好いぐらいである。よく練れた
温雅な薄墨の筆蹟で、いかにも調子は高いが、どこまでも静かにおち著いていて、そこに....
「夜長ノート」より 著者:種田山頭火
に憧憬し仏蘭西文明を駆歌する荷風氏。現実の醜悪を厭うて夢幻に遁れんとする未明氏。
温雅淡白よりも豊艶爛熟を喜ぶ白秋氏。 或る意味に於て、すべての人間はアイデアリ....
「二面の箏」より 著者:鈴木鼓村
私の女門弟に某という娘があった。年齢はその頃十九だったが、容貌もよし性質も至って
温雅な娘でまた箏の方にかけては頗る天稟的なので、師匠の自分にも往々感心する様なこ....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
庭の面にはもう薄雪の一面に降っていた。やがて中門より、庭の柴折戸を静かに開けて、
温雅に歩み来る女を見ると、まぎれもないその娘だ、文金の高島田に振袖の裾も長く、懐....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
といい、室町末期の代表的歌集であるが、歌風は政為に自ずと冷泉流らしさがあるほか、
温雅の体で、とり立てていうほどのことはない。もうそのころには、ポルトガルの黒船は....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
に特別な約束があって、仏たちという名詞で止っている下には「」という文字とか、また
温雅なる色彩とか、蒼古な感じとかいうような、菊の花に付属する種々の連想がやはり省....