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湧かす
「湧かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湧かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
の形もあった。これに伝わって滴る雫は、霊晶の石を溶し来て白濁し、人間の母が胸から
湧かすところの乳の雫そのままであった。 若い獣神はいう「この乳を、あの方は、生....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
もない。仕儀によったらそれをやろう」 逸作は、こういう桁外れの企てには興味さえ
湧かす男であった。「外遊を一年も延ばしたらその位の金は生み出せる」 二人の腹は....
「緑衣人伝」より 著者:田中貢太郎
積んでそれを販がした。すると詩を作ってそれを謗った者があった。 昨夜|江頭碧波を
湧かす 満船|都て相公の※を載す 雖然羮を調うるの用をなすことを要するも 未だ必....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
次に問題となって来る。つまり、題材を時代に取ることは、一方では人々の懐古的興味を
湧かすと同時に、他方現代起りつつある事実で、自《おのずか》ら興味を惹かれる時、既....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
夜になってこうして面《かお》を合せた時には、思い切って人間味のありそうな話に興を
湧かすのであります。人間味というのは、なにも色恋の沙汰ばかりではないけれども、こ....
「創作人物の名前について」より 著者:夢野久作
エラリー・クイーン等々の名前は、単にその名前が紙面に顔を出しただけでも読者の血を
湧かす。その人物の風采性格から、その服装までもが躍如として眼前に浮み上る。朝雲を....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
ような気がして名誉に感じるが、芸術税というは世界に比類なき珍税として公衆の興味を
湧かすに足りる。が、そこに一疑問がある。文学は果して職業だろう乎。 ▲世の中に....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
二組になって浴場に入る。浴場は煉瓦作り、浴槽はタタキでかなりに大きい。湯は蒸気で
湧かすことになって、寒暖計まで備えつけてある。我々はイツも一番にはいらせられるの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
児を一人、子供の愚連隊が連れこんだことによって、今までとは全く異った遊びの興味を
湧かすのを、主膳が見ました。
「今日は、おいらん遊びをしようよ、吉原のおいらん遊....
「ルネ・クレール私見」より 著者:伊丹万作
である。 クレールほどあざやかな技巧を持つており、クレールほど泉のように機知を
湧かす映画作家を私は知らない。 彼が最もすぐれた喜劇作者であるゆえんは一にこの....
「日記」より 著者:宮本百合子
。 床の上にテーブルをのせ、此を書く。うつらうつら考え、「火のついた踵」に興を
湧かす、書くべし。 又、先にしらべたロシアの一八六〇―七〇年代の女性の運動と日....
「歴史的探偵小説の興味」より 著者:小酒井不木
過去の時代即ち想像によってしか思い浮べることの出来ぬ時代もそれと同じような気分を
湧かすからである。 岡本綺堂氏の「半七捕物帳」は私の大好きな歴史的探偵小説の一....
「昔尊く」より 著者:上村松園
らず、朝起きると表を開け、戸をくり掃除をし、台所へ行って七輪に火をおこしてお茶を
湧かすといった順序で、姉がした分も何かと加わってきたわけでございました。始めの間....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
り心の奥にはかすかな圧迫があって、その五十銭行使を実力でなく、投機使する気持ちを
湧かすのであります。もしそう意識しないとしても潜在意識において。 本当の満足は....