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「湧き上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

湧き上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
も皆あなたの召使です。」 「大日※貴! 大日※貴! 大日※貴!」 そう云う声の湧き上る中に、冷汗になったオルガンティノは、何か苦しそうに叫んだきりとうとうそこ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
している、小さな一人の人間は、代る代る泣いたり笑ったりしていた。が、山々の中から湧き上る声は、彼の悲喜には頓着なく、あたかも目に見えない波濤のように、絶えまなく....
星座」より 著者:有島武郎
そのものなんです。さすがの僕もおぬいさんの前に出ると、慎《つつし》みの心が無性に湧き上るんだから手がつけられない……そんなに笑っちゃだめですよ、奥さん、それはま....
春の盗賊」より 著者:太宰治
って、ちょっと整理もつきかねるて、などと、ああ穴があれば、はいりたい、そう思って湧き上る胸の不安を、なだめすかしていたものだ。 いま考えてみると、その他にも、....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
上り、 東の空に太陽の、光りが出ると一時《いちどき》に、 海の面《おもて》に湧き上る、金銀の波雲の波、 蹴立て蹴立てて行く末は、あと白波の沖の方、 あれ....
俊寛」より 著者:菊池寛
日の少女が、昨日彼女が蹲っていたのと同じ場所に蹲っているのを見る。俊寛の胸には、湧き上るような欣びが感ぜられる。今日こそ、昨日よりももっと大きい鰤を釣り上げて少....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
をせき留めるような余儀ない焦立ちと労りで真佐子をかたく抱きしめたい心がむらむらと湧き上るのだったが……。 復一は吐息をした。そして 「静かな夜だな」 という....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
「地獄変」の怪美や「奉教人の死」の幻想が逸早く横切った。私はそれ等諸作の追憶から湧き上る氏への崇拝の心を籠めて、「とにかくお体を大切になさいまし。」と平常ならば....
光の中に」より 著者:金史良
張り上げた。 (もう時間だな)と思うが早いか、今度は豆でも挽き立てるような騒ぎが湧き上る。子供たちは階段をわれ先にと駆け上って来るのだ。授業を終えて教室を出よう....
酒ぎらい」より 著者:太宰治
くれたら、実に、うれしい。友あり、遠方より来る、というあの句が、おのずから胸中に湧き上る。けれども、いつ来るか、わからない。常住、酒を用意して待っているのでは、....
女難」より 著者:国木田独歩
次第にたかまってきて、今までお幸のもとに通ったことを思うと『しまった』という念が湧き上るのでございます。それですからもし、お幸を連れて逃げでもすれば、行く先どん....
貞操問答」より 著者:菊池寛
って訊くと、白ばくれてだまっていながら、今になって、と思うと、準之助氏は思わず、湧き上る怒をじっとこらえたが、顔の表情は、あやしく歪んだ。 そのゆがみを、夫人....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
かに人々を誘惑の手で手招くのです。 ほんとうの栄えは仏神を念じて、生命の底から湧き上る力を得てのちに得られるものだと信じます。 ここにちょっとした面白い話が....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
走っているのが仄に見られる。大日岳の連嶂から遠い白山の方面へかけては、日本海から湧き上る雲の峰が今|将に幾多の大山岳を形造ろうとしている当年の地上のさまを想わせ....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
顧ると谷の正面を限る後立山山脈には、積雲の大塊が屯して盛に活動している。もくもく湧き上る白銀を溶したような頂のあたりには、領布雲が二すじ三すじ横に靡いていた。行....