湧き起る[語句情報] » 湧き起る

「湧き起る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

湧き起るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
で飾り立てまして、陸《おか》の方から吹く朝風に一度に颯《さっ》と帆を揚げますと、湧き起る喊《とき》の声と一緒に舳《へさき》を揃えて、沖の方へと乗り出しました。 ....
蠅男」より 著者:海野十三
んだ疼痛を感じた。彼は床の上に自分の身体が崩れてゆくのを意識した。そして階下から湧き起る警官隊の大声と階段を荒々しく駈けあがってくる靴音とを、夢心地に聞いた。 ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
そこが違うんでしょうねえ」 けれども、一たんむす子へ萌した尊敬の念は、あとから湧き起るさまざまの感傷をも混えて、昇り詰めるところまで昇り詰めなければ承知出来な....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
柩は、フィレンツェの市旗に覆われ、四人の麻布を纏った僧侶の肩に担がれた。そして、湧き起る合唱と香煙の渦の中を、裏庭の墓※をさして運ばれて行ったのである――閉幕。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
井はいつも遠く深く海をながめるのを例とする。海をながめているうちに、この人の頭に湧き起る感情は、未来と前途というところから与えられる爽快な気分です。それと共に、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
面《かお》を見ていると、むらむらとして、衷心《ちゅうしん》の憤りと、憎しみとが、湧き起るのを禁《と》めることができないと見えて、その拳《こぶし》がワナワナと動い....
風博士」より 著者:坂口安吾
騒いでいる習慣であった。時には部屋の中央に一陣の竜巻が彼自身も亦周章てふためいて湧き起ることもあったのである。その刹那偉大なる博士は屡々この竜巻に巻きこまれて、....
山の神殺人」より 著者:坂口安吾
ナム妙法蓮華経。ナム妙法蓮華経。ナム妙法……」 まるで滝の音のようにキリもなく湧き起るお題目の声。女の声だが、必死の気魄がみなぎっている。 「あれは何ですか。....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、現在の夫、八住衡吉などは、むろん影すらもないのだった。 ウルリーケはこもごも湧き起る回想のために、しばらくむせび泣きしていたが、やがて歩を返し、つづいて艇長....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
四月にもなれば毎年きまって繰返される自然の現象ながら、村人には、その大地の底から湧き起るような遠いとどろきと雪解の黒い山肌とは、何かしらじっとしておれないどよめ....
殺人迷路」より 著者:佐左木俊郎
、あの、七年前の煽情的な事件を思い出すと、投げようとする僕の中に、又、新な勇気が湧き起るのだったんだ。ところが宮部京子事件の起る三日前の晩、君もすでに知っている....
澪標」より 著者:外村繁
は強いてそう思込むことによって、気持を鎮めようとする。が、その後から新しい不安が湧き起る。 玄関の扉が開く。貞子が帰って来たのである。 「どうだった」 妻が....
夢幻泡影」より 著者:外村繁
ため余計眠れず、長い夜の不安と、片時も鎮まることのない神経痛の痛みとが、黒闇から湧き起る、一種の強迫観念となって、狂おしく人の名を呼び叫ぶのではなかろうか。しか....
六日月」より 著者:岩本素白
のほとりの然るべき構えの家から、ピアノの音が漏れて来る。それも此の楽器特有の潮の湧き起るような荘重なのではなく、稽古でもして居るらしく、唯たど/\しくぽん/\い....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
って心すべきことは、この章のはじめに述べましたように、誤解は人生の機構上、無尽に湧き起る性質を持っております。一を払えば一起り、尺を刈ればまた尺というふうに、遼....