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湧出
「湧出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湧出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運命論者」より 著者:国木田独歩
こ》から現われたのか少《すこし》も気がつかなかったので、恰《あだか》も地の底から
湧出《わきで》たかのように思われ、自分は驚いて能《よ》く見ると年輩《とし》は三十....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、爆雷にやられて、海底にもぐりこんだそうですが、特務機関の報告によると、海面に
湧出した重油の量が、ちと少なすぎるという話ですな」 「ほほう、そうかの」将軍は初....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ル四方ばかりは草も木もなく、ただ一面に、灰色の石ころの原になっていた。掛矢温泉に
湧出る湯も、実はこの地獄沢からぷうぷうふきだしているガスによって、地中で温められ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
いと煽ったげな。 酒は一樽|打抜いたで、ちっとも惜気はござりませぬ。海からでも
湧出すように、大気になって、もう一つやらっせえ、丁だ、それ、心祝いに飲ますべい、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
れば、音となく響きとなく、飜然と軽く体を躱わす、形のない、思いのままに勝手な音の
湧出ずる、空を舞繞る鼓に翼あるものらしい、その打囃す鳴物が、――向って、斜違の角....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
もお雪が宿の庭|続、竹藪で住居を隔てた空地、直ちに山の裾が迫る処、その昔は温泉が
湧出たという、洞穴のあたりであった。人は知らず、この温泉の口の奥は驚くべき秘密を....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ったんではないけれども、こう、じとじとして、湿っぽくッて、陰気で、そこらに鯰でも
湧出しそうな、泥水の中へ引摺込まれそうな気がしたんで、骨まで浸透るほど慄然々々す....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ンと、引入れられそうに呻吟く。 とても堪らん。 気のせいで、浅茅生を、縁近に
湧出る水の月の雫が点滴るか、と快く聞えたのが、どくどく脈を切って、そこらへ血が流....
「水の女」より 著者:折口信夫
なったのは、「出づるゆ」からである。神聖なことを示す温い常世の水の、しかも不慮の
湧出を讃えて、ゆかはと言うた。「いづ」の古義は、思いがけない現出を言うようである....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
強烈な日の光を避けて、四辺は薄暗くなっていた。 山神の石の祠、苔に蒸し、清水の
湧出る御手洗池には、去歳の落葉が底に積って、蠑※の這うのが手近くも見えた。 萱....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
あって、海に寄ったのは亭々として雲を凌ぎ、町へ寄ったは拮蟠して、枝を低く、彼処に
湧出づる清水に翳す。…… そこに、青き苔の滑かなる、石囲の掘抜を噴出づる水は、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
その肩も腰も靡かせる。 「ははあ、床下の鉄管で引いたんだね。」 もくもくもくと
湧出す水で、真赤な血を洗いながら、 「嫁さん、嫁さん。」 「はい。」 と二竈の....
「美味い豆腐の話」より 著者:北大路魯山人
劣らぬ豆腐ができるようになった。それも一に、私の家に豆腐に適するすばらしい良水が
湧出したためであった。 いかに京都で秘法を授かって来ても、良水を欠いたら、いい....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
過ぎざる小島なれども、港湾の比較的深くして巨舶をつなぐに適すると、渓谷間に清泉の
湧出するありて飲用水を有するとによりて、ここに人の輻湊するに至り、自然に小都邑を....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
差別待遇のために、いかに苦しめられているかをよく承知したならば、ここに真の同情が
湧出して、過去の差別的行為の非を暁り、いわゆる差別撤廃から、進んで真の融和の域に....