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湯槽
「湯槽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯槽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
の児とを見かけました。花月園へ連れて行ってやりたいような可愛い児です。その日私は
湯槽《ゆぶね》の上にかかっているペンキの風景画を見ながら「温泉のつもりなんだな」....
「競馬」より 著者:織田作之助
のだ。注射が済んで浴室へ行った時、寺田はおやっと思った。淀で見たジャンパーの男が
湯槽《ゆぶね》に浸《つか》っているではないか。やあと寄って行くと、向うでも気づい....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
られながらも、高い天井から射し込む眩しい陽光を、恥しい程全身に浴びながら、清澄な
湯槽にぐったりと身を横えたりする間の、疲れというか、あの一味放縦な陶酔境といった....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
陰にひたひたと這い寄って来る。浴室の煙突からは、白い煙が立上り、薪割りをしながら
湯槽の金剛と交しているらしい安吉老人の話声が、ボソボソと呟くように続く。おとみ婆....
「わが町」より 著者:織田作之助
方がええなあ、君枝」 「そんな殺生な――」 言いながら、表へ出ると、日の丸湯で
湯槽の湯を抜いて床を洗っている音がザアザアと聴えて来て、河童路地もすっかり更けて....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
の数日間の疲労を吸い取ってくれる。 「ええと、一番始めはどうだったかな」 彼は
湯槽の中に伸び切った自分の身体をいたわりながら、この事件を頭の中で復習し始めた。....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
光る長い廊下を、湯殿へ連れて行って、一所に透通るような温泉を浴びて、岩を平にした
湯槽の傍で、すっかり体を流してから、櫛を抜いて、私の髪を柔く梳いてくれる二櫛三櫛....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
ある。 別荘と申しても、これは熱海の海岸などによくある竹の垣を結いめぐらして、
湯槽の中から垣ごしに三原山の噴煙が見えようというようなオープンなものではなく、例....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
で手拭拾た、 これも小川の温泉の流れ。 などという、いわんや巌に滴るのか、
湯槽へ落つるのか、湯気の凝ったのか、湯女歌の相間々々に、ぱちゃんぱちゃんと響きま....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
もうその辺から聞えそうだ、と思ったが、出て来ない。 その内、湯に入ると、薄りと
湯槽の縁へ西日がさす。覗くと、空の真白な底に、高くから蒼空が団扇をどけたような顔....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。 或る日のことである。晩方早目に銭湯に出掛けて見ると、浴客はただ一人ぎりで
湯槽に浸っていた。ほどよく沸いた湯がなみなみと湛えられて、淡い蒸気がかげろうを立....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
前さんとこの阿父さんがこれこれだと言うから、びっくらして行って見ると、阿父さんは
湯槽に捉まったままもう冷たくなってたのさ。やっぱり卒中で……お酒を飲んで湯へ入る....
「秋深き」より 著者:織田作之助
もいなかった。小柄で、痩せて、貧弱な裸を誰にも見られずに済んだと、うれしかった。
湯槽に浸ると、びっくりするほど冷たかった。その温泉は鉱泉を温める仕掛けになってい....
「渋温泉の秋」より 著者:小川未明
来なかったので、内湯に行ったのである。広いという程でないけれど、澄み切った礦泉が
湯槽に溢れている。足の爪尖まで透き通って見ることが出来る。無限に湧き出ている礦泉....
「四つの都」より 著者:織田作之助
れ即ち親孝行という事にはならんよ」 両人、笑う。 一二 浴室の中。 庄平と庄造が
湯槽に浸っている。 庄平「背中流しましょうか」 庄造「いや、それには及ばん、将棋....