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「湯気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

湯気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
たりではやはり賑《にぎや》かな談笑の声につれて、大ぜいの裸の人間が、目まぐるしく湯気の中に動いている。柘榴口《ざくろぐち》の中の歌祭文《うたざいもん》にも、めり....
」より 著者:芥川竜之介
《ひさげ》に入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷《やけど》する惧《おそれ》がある。そこで折敷《おしき》へ穴....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
本となくマチを摺《す》った揚句《あげく》、やっとそれに火をつけた。すると間もなく湯気の立つ珈琲茶碗が、自分の卓《テエブル》の上に現れたが、それでも一度沈んだ気は....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
。のみならず半之丞は上さんの言葉にうんだともつぶれたとも返事をしない、ただ薄暗い湯気《ゆげ》の中にまっ赤になった顔だけ露《あら》わしている、それも瞬《またた》き....
少年」より 著者:芥川竜之介
ていたのである。そこへ客か何か来たのであろう、鶴《つる》よりも年上の女中が一人、湯気《ゆげ》の立ちこめた硝子障子《ガラスしょうじ》をあけると、石鹸《せっけん》だ....
或る女」より 著者:有島武郎
》一つすえずにきちんと掃除《そうじ》が届いていて、三か所に置かれた鉄びんから立つ湯気《ゆげ》で部屋の中は軟《やわ》らかく暖まっていた。 「お座敷へと申すところで....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
はそれでもやがて白い炊煙がかすかに漏れはじめた。屋根からともなく囲いからともなく湯気のように漏れた。 朝食をすますと夫婦は十年も前から住み馴《な》れているよう....
星座」より 著者:有島武郎
突然恐水病にかかるようなものだ。じくじくと考えている彼の眼がきゅうに輝きだして、湯気《ゆげ》を立てんばかりな平べったい脂手が、空を切って眼もとまらぬ手真似の早業....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
子をすらりと開けた。 「ご免なさいよ。」 頬被りの中の清しい目が、釜から吹出す湯気の裏へすっきりと、出たのを一目、驚いた顔をしたのは、帳場の端に土間を跨いで、....
女客」より 著者:泉鏡花
んな、そんな児を構うものか。」 とすねたように鋭くいったが、露を湛えた花片を、湯気やなぶると、笑を湛え、 「ようござんすよ。私はお濠を楽みにしますから。でも、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
すので、お茶を御馳走いたしました。……お盆がなくて手で失礼でございます。) と湯気の上る処を、卓子の上へ置くんでございますがね、加賀の赤絵の金々たるものなれど....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
路にも、人と車と、一斉に湧き動揺いて、都大路を八方へ溢れる時、揚出しの鍋は百人の湯気を立て、隣近な汁粉屋、その氷月の小座敷には、閨秀二人が、雪も消えて、衣紋も、....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
それからじぶんの胸をひっかいて、黒い血をだして、そのなかへたらしこみました。その湯気が、なんともいえないふしぎなきみのわるい形で、むくむくと立って、身の毛もよだ....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
、もう両側の家家には、電燈の光がさし合っていた。良平はその電燈の光に、頭から汗の湯気の立つのが、彼自身にもはっきりわかった。井戸端に水を汲んでいる女衆や、畑から....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ように、一切がっさい混沌としており、しかもその真中からは大きな茶わかしが濛々たる湯気をまきあげている。いやはや、なんとも豪勢なものだ。この饗宴にふさわしいほど述....