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湯船
「湯船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯船の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
たそうに、膝で、もじもじして、平吉の額《ひたい》をぬすみ見る女房の様《さま》は、
湯船《ゆぶね》へ横飛びにざぶんと入る、あの見世物の婦《おんな》らしい。これも平吉....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
ていた。馬丁は僕に待っていろと言って、自分一人その中へはいって行った。男と女とが
湯船の中に入りまじって、キャッキャッと言って騒いでいた。僕はいやになって、馬丁が....
「家」より 著者:島崎藤村
と話して進げるんだネ」 こんな言葉を取換した後、正太は二三の男の浴客に混って、
湯船の中に身を浸した。彼は妻だけこの伊東に残して置いて復た国の方へ引返さなければ....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
かり暮れてしまったのに、千浪は上ろうともせず、腰から上を湯のうえに見せて、天然の
湯船をなしている岸の巌に、凭《よ》りかかって立っている。 江戸育ちで、千浪は、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ここ洗い出した。石鹸の泡が盛大に飛散する――と思っていると、ざぶっとつかって忽ち
湯船を出た。烏の行水みたいに早いおぶうである。 あとはもっと簡単だった。丁寧に....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
覚えのある謡曲の声とともに、よもぎのような惣髪《そうはつ》のあたまが一つ、せまい
湯船の隅にうだっている。
はッ! と思うと与の公、ちょいと身体を濡らしただけで....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
蛍の名所といいたい景色――。
上様《うえさま》お風呂《ふろ》
槙《まき》の
湯船の香が、プンとにおう。この風呂桶は、毎日あたらしいのと換えたもので……。
....
「電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
と習慣とがなかったら東京市民の顔は今頃どんなものに変化しているだろう。 銭湯の
湯船の中で見る顔には帝国主義もなければ社会主義もない。 もし東京市民が申し合せ....