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湿け
「湿け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湿けの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
承を願っておいて…… わが、辻三がこの声を聞いたのは、麹町――番町も土手下り、
湿けた崖下の窪地の寒々とした処であった。三月のはじめ、永い日も、午から雨もよいの....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
あの雀はどうしたろう。」ありたけの飛石――と言っても五つばかり――を漫に渡ると、
湿けた窪地で、すぐ上が荵や苔、竜の髯の石垣の崖になる、片隅に山吹があって、こんも....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
きすくめられた。唇の端には、無恥な、挑むような、狡そうなものが、そして、眼には、
湿けた、暗い水の粒が宿っている。左枝は、いったんは感じた女の顫えが、やがて、消え....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
晴れないとはどう考えても可笑しいよ。あんなに朦気の立つところを見るとこの辺一帯|
湿けているのかもしれない。……あれは何んだ? おお鷹か、いい気持ちに飛んで行きお....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
。――夏なら木下闇の、枯れ枝ながら鬱陶しくさし交した下は、溜った落葉の、土の匂も
湿けて暗かった…… 「君は来るのかい、始終?」 小倉のほうを向いて田代はいった....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
は将軍様のお居間には能くあることで、これは間違いの無いようにというのと、今一つは
湿けて宜しくないから、二重に遊ばした方が宜しいと二重畳にして御寝なる事になる。屏....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かしれない。今はそこもからッぽだ。白地に黒く雲形を織り出した高麗縁の畳の上までが
湿けて見える。 「お民、お前のところじゃ、上段の間を何に使ってるかい。」 「うち....
「植物医師」より 著者:宮沢賢治
ずいぶん色々ですがなあ、天気にもよりますしね。」 農民一「曇ってまず、土のさっと
湿けだずぎだら、なんぼこりゃにすたらいがべす。」 爾薩待「そうですな。またあんま....
「童子」より 著者:室生犀星
いて、危ぶなく倒れようとした。ハネ泥で裾まわりが濡れ気もちが悪かった。 土間の
湿けた格子内の、三尺式台の上に、瓶が出て居り、白いものが這入っていた。あけられた....