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溜め
「溜め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溜めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
よって、聖霊の御名によって、教会のために、国のために、世界のために、「君よ、金を
溜めたまえ」というて、このことをその人に勧めるものです。富というものを一つにまと....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
お増、よく聞いてくれ、私が無理か民子が無理か。なアお増」 母は眼に涙を一ぱいに
溜めてそういった。民子は身も世もあらぬさまでいきなりにお増の膝へすがりついて泣き....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ね。」と襷がけのまま庖丁を、投げ出して、目白鳥を掌に取って据えた婦は目に一杯涙を
溜めて、「どうしましょう。」そ、その時だ。試に手水鉢の水を柄杓で切って雫にして、....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ああいう楽しみもして、ああいう耽溺のにおいも嗅いで見たいような気がした。僕は掃き
溜めをあさる痩せ犬のように、鼻さきが鋭敏になって、あくまで耽溺の目的物を追ってい....
「春昼」より 著者:泉鏡花
さそうなもんですが、そうすると愛別離苦です。 唯死ぬほど惚れるというのが、金を
溜めるより難いんでしょう。」 「真に御串戯ものでおいでなさる。はははは、」 「真....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、勝手にしろと云ってくれようか。それともカチヤを餌に、人間の食うものも食わ無えで
溜めた黄色い奴を、思うざま剥奪くってくれようか。虫っけらは何処までも虫っけらで押....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
…… その妹だね、可いかい、私の阿母が、振袖の年頃を、困る処へ附込んで、小金を
溜めた按摩めが、ちとばかりの貸を枷に、妾にしよう、と追い廻わす。――危く駒下駄を....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
こうしてお金を送って頂こうとは思わなかった。と思うと登志子はもう涙をいっぱい目に
溜めていた。一昨日も先生の電報を見た時に、先生はこんなにまで気をつけてくださるの....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
う。池の周囲はおどろおどろと蘆の葉が大童で、真中所、河童の皿にぴちゃぴちゃと水を
溜めて、其処を、干潟に取り残された小魚の泳ぐのが不断であるから、村の小児が袖を結....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
う。そんな比羅絵を、のしかかって描いているのが、嬉しくて、面白くって、絵具を解き
溜めた大摺鉢へ、鞠子の宿じゃないけれど、薯蕷汁となって溶込むように……学校の帰途....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
りも鮮明に、ちらちらと、揺れつつ灰に描かるる。 それを汚すようだから、雁首で吹
溜めの吸殻を隅の方へ掻こうとすると、頑固な鉄が、脇明の板じめ縮緬、緋の長襦袢に危....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
た彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い退けることが出来ないのだと思って、やれやれと
溜め息をつきながら行ってしまうのであった。 爛々たる太陽が沈みかけると、ラザル....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
してお譲りします。肌身離さず大切に所持してもらいます……。』 両眼に涙を一ぱい
溜めて、赤心こめて渡された紀念の懐剣――それは刀身といい、又装具といい、まことに....
「鴨猟」より 著者:芥川竜之介
っていた。しかもまた、何だか頭巾に似た怪しげな狐色の帽子を被って、口髭に酒の滴を
溜めて傍若無人に笑うのだから、それだけでも鴨は逃げてしまう。 こういうような仕....
「競馬」より 著者:犬田卯
る競馬場は、もう人で埋っていた。すでに何回かの勝負があったらしく、喊声や、落胆の
溜め息や、傍観者の笑いさざめきなどが、ごっちゃになってそこから渦巻き昇っていた。....