溜め息[語句情報] »
溜め息
「溜め息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溜め息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
らち》はねえ」 「それで大家《たいけ》もばたばたと没落したんだね」と、亭主は深い
溜め息をついた。 「それでも足利のおあねえ様や分家の手合いが寄り集まって、何とか....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
透って、そそぐが如くに血が流れた。 「ああ、天がおれを殺すのだ」と、かれは大きい
溜め息をついた。「貴様たちの働きではない。しかし貴様の女房はもう孕んでいる。必ず....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
夜唯ひとりで坐っていると、たちまち自分のそばに夫の立っているのを見た。彼は無言で
溜め息をついているのであった。 「あなた、今頃どうしてお退がりになったのです」 ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
を祈るがために焚いて祭るのである。 日が暮れて、あたりが暗くなると、表で幽かに
溜め息をするような声がきこえた。 「ああ、小哥はほんとうに死んだのだ」と、母は声....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
みを発見して、さらに第三の包みを見つけた時、私の肩に近いあたりで悲しそうな大きい
溜め息がきこえたので、私もびっくりして二ヤードほどもあわてて飛びのいて、剣の柄に....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
郷を去った若者にはきわめてありがちの断腸の思いと結び付いて、ジョヴァンニは思わず
溜め息をついた。そうして、物さびしい粗末な部屋の中をあちらこちらと見まわした。 ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
た彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い退けることが出来ないのだと思って、やれやれと
溜め息をつきながら行ってしまうのであった。 爛々たる太陽が沈みかけると、ラザル....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
うを流れ渡った。私はこの不思議な窓を見あげているうちに、おのずと心の奥から希望の
溜め息があふれ出してきたのである。しかも再び我れにかえってみると、私の周囲には物....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
がない。どう考えても不思議なことであります。」 「実に不思議です。」と、佐山君も
溜め息をついた。ゆうべ逢った魚釣りの人もやはりその狐ではなかったかとも思われた。....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とが出来たという不思議な運命について、わたしは考えました。そうして、苦しく愛惜の
溜め息をつきました。すると、誰かわたしの後の方で、同じように
溜め息をついているの....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
る。彼女は今や眼をとじて、その睫毛のあいだからは熱い涙をながしつつ、その胸に深い
溜め息をつくばかりで、死せるがごとくに静かであった。 コスモは自分の心持ちを、....
「競馬」より 著者:犬田卯
る競馬場は、もう人で埋っていた。すでに何回かの勝負があったらしく、喊声や、落胆の
溜め息や、傍観者の笑いさざめきなどが、ごっちゃになってそこから渦巻き昇っていた。....
「五色蟹」より 著者:岡本綺堂
逢ったんだ。」 「そこで、君はあの女をなんとか思っていたのか。」 田宮は黙って
溜め息をついていた。 (初出不明)....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
小夜衣……。どうじゃ、まだ判らぬか。」 「判りませぬ。」と、小坂部はわざとらしい
溜め息をついた。「衣小袖を送れとの御判断、それも面白うは存じまするが、万一その謎....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
うになりました。それに同情してくれたのが従弟の弘さんなのでございます」と云って、
溜め息を吐き、 「弘さんの事を少し申上げなければなりません、新聞にもあります通り....