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溜息
「溜息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溜息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
も、嬉しいともつかない御心もちで、しばらくはただ、茫然と御文を前にひろげたまま、
溜息《ためいき》をついていらっしゃいました。が、何はともあれ、御眼にかかって、今....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たち》どまった。妻はその暇にようやく追いついて背《せなか》の荷をゆすり上げながら
溜息をついた。馬が溺りをすますと二人はまた黙って歩き出した。
「ここらおやじ(熊....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
だと思いながら一時間がたちました。
教場を出る鐘が鳴ったので僕はほっと安心して
溜息《ためいき》をつきました。けれども先生が行ってしまうと、僕は僕の級《きゅう》....
「星座」より 著者:有島武郎
いられなかった。
二時間目の授業が始まるからといって園が座を立ったあと、清逸は
溜息《ためいき》をしたいような衝動を感じた。それが悪るかった。自然に
溜息が出たあ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
おとなしく頷いたが、(許す。)の態度で、しかも優しかった。 「ああ。」と、安堵の
溜息を一所にして、教頭は室の真中に、ぼんやりと突立つ。 河野の姿が、横ざまに飛....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ものもなかった。 昼と夜との分ちも未だなかった。 ある一つの名のない「物」が深い
溜息をしていた、 その外にはこの宇宙の渾沌の中に何物もなかった。 そこには暗闇が....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
馬鹿に気になって見詰めて居ると、段々西に廻ってとうとう見えなくなったんで、思わず
溜息ってものが出たのも其の晩だ。いまいましいと思ったのよ。 そうしたあんばいで....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と袖で胸へしっかと抱いて、ぶるぶると肩を震わした、後毛がはらりとなる。 捻平|
溜息をして頷き、 「いや、よく分った。教え方も、習い方も、話されずとよく分った。....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
と饂飩屋は、渋団扇を筵に支いて、ト中腰になって訊く。 八 差配は
溜息と共に気取って頷き、 「いつ、どこでと云ってね、お前、縁日の宵の口や、顔見世....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ぶるぶると動いた。白歯の色も涙の露、音するばかり戦いて。 言を折られて、謙造は
溜息した。 「あなた、もし、」 と涙声で、つと、腰を浮かして寄って、火鉢にかけ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
ろも見ずに駈けだして行ってしまった。 シイカはそれをしばらく見送ってから、深い
溜息をして、無表情な顔を懶げに立てなおすと、憂鬱詩人レナウのついた一本の杖のよう....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
はさも希望のなさそうな、単調な声であった。その声を聞くものは、譬えば闇の夜が吐く
溜息を聞くかと思った。その声を聞けば、何となく暖かい家が慕わしくなる。愛想のある....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
かと疑われた。 「ああ、」とばかり、あらためて、その(松や、)を言おうとすると、
溜息になってしまう。蚊帳が煽るか、衾が揺れるか、畳が動くか、胸が躍るか。膝を組み....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
解いて、色っぽくはだけた褄と、男の空脛が二本、少し離れて、名所の石に挫げました。
溜息吐いてる、草の茂を、ばさり、がさがさと、つい、そこに黒く湧いて、月夜に何だか....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
でも果さなくてはならない義務なのだろう。」奥さんもこんな風に自ら慰めて見て、深い
溜息を衝いた。 夫を門の戸まで送り出すとき、奥さんはやっと大オペラ座の切符を貰....