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溢れ出る
「溢れ出る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溢れ出るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
」 「いっそ煩うて死にとうござります」 言ううちにも、止めどもなしに突っかけて
溢れ出る涙は、白粉の濃い彼女の頬に幾筋の糸を引いて流れた。半九郎は痛ましそうに眉....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、威風ばかりではない。その気品、水ぎわ立った恰幅《かっぷく》、直参なればこそ自ら
溢れ出る威厳です。 「出迎えせい!」 ずばりと言って、教えられたその住の江の店....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
取り除ける事も出来ず、附け添える事も出来ぬ、本統に心の底の清い泉から自然に湧いて
溢れ出る無形の真清水とも云う可きである。
或る人の説に相《そう》は心から出る者....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
らしまいまで照している。 寺院の戸が開いた。寺院の内部は闇で、その闇は戸の外に
溢れ出るかと思うほど濃かった。その闇の中から一人の男が現われた。十歳の童女から、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に映じて再びきらきらと照り返すと、池の水はその強い反射で、色のついた光りを帯びて
溢れ出るようにも見えた。 初めは前に言ったように、庭には人影がなかった。しかし....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ぱちつかせたりしながらむらがっていた。水道の栓はひとり打遣って置かれたので、その
溢れ出る水は急に凍って、厭世的な氷になってしまった。柊の小枝や果実が窓の中の洋灯....
「風博士」より 著者:坂口安吾
である。諸君、目前に露出する無毛赤色の怪物を認めた時に、余は実に万感胸にせまり、
溢れ出る涙を禁じ難かったのである。諸君よ、翌日の夜明けを期して、かの憎むべき蛸は....
「博物誌」より 著者:岸田国士
思う方から追い立てる。 その群れは、道をいっぱいに占領し、溝から溝へ波を打ち、
溢れ出る。或る時はまた、密集して一体となり、ぶよつき、老婆のような小刻みな足どり....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
の前で荷物の番をしている時、持ち出してある大酒樽の飲み口が抜けて、ドンドンと酒が
溢れ出る。その酒のしぶきが私の衣物をびっしょりにしてしまいました。私は濡れたまま....
「地上」より 著者:島田清次郎
学校の門前で彼を待つようにしている彼女に出遭った。和歌子は微笑した。それは自然に
溢れ出る微笑であった。何か言おうとすると、彼女がすた/\歩みはじめた。もうかえろ....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
の新しいスタイル――混乱期の作品らしいスタイル――「雪の話」の名人芸を打ち破って
溢れ出るスタイルを待望していた。そんな作品がどこかの雑誌に載りはしないだろうかと....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
べき表現の直接性は決して様式伝習の間から生れているのではなく、却て様式|破綻から
溢れ出る技術と精神|気魄との作ったものである。作者がしゃにむになって、むしろ有る....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
え」 丈「ウーム…ウームお母さん少し待って下さい」 と云いながら片手で袖を握り
溢れ出る血を押え、ハッハッと息を吐く途端に、中矢切の総寧寺の勤めの鐘がゴーン/\....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ァ起きろ。」 と、起きた起きた。二等よりもより雑然たる諸相の中から、湧き出る、
溢れ出る、転がり出る、飛び出る、それらの如く、蠢々として、哀々として、莞爾として....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
業と住居とは制限せられておりますから、生活はますます困難となり、勢い世間に向って
溢れ出る。これに対する防禦の圧迫が、次第に彼らを苦しめたのであります。何故彼らに....