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溶かす
「溶かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溶かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
とした。 忠直卿は、祖父の家康から日本|樊※《はんかい》と媚びられた名が、心を
溶かすように嬉しくて堪らなかった。彼は家中の若|武士《ざむらい》と槍を合わし、剣....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
潜っていたものです。云わば河内園長の認識標なんです。しかも園長の身体を焼くとか、
溶かすかしなければ出て来ない終身の認識標なんです」 「そんな出鱈目は、よせ!」 ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
うして使うものだろうねえ。」とおばあさんはまたお民に言って見せた。「なんでも水に
溶かすという話を聞いたから、わたしは一つ煮て見ましたよ。これが、お前、ぐるぐる鍋....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
しょう?」 スーラーブは、なにか黎明の日の光に似た歓ばしい期待が、そろそろ心を
溶かすのを感じた。胸の中では「吉報! 吉報!」と子供らしい叫びをあげて動悸が打つ....
「その年」より 著者:宮本百合子
りここへ朝早うに来れば分ろう?」 「うん」 だんだん胸がせまって来るのを、涙に
溶かすまいとすると、お茂登の声と眼とは、おこったような力みを帯びた。 「ほんに、....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
棒がでて来た。それこそ、X塗料を固めたものであった。それを、ある特殊な油を使って
溶かすと、X塗料となるのだった。 「おや、へんなものが出て来やがった」 とつぜ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
間を仮死に陥れる研究に始めて成功した。こいつはまた素晴らしい。奇妙な毒物なんだが
溶かすと無味無臭で、誰も毒物が入っていると気がつかない。これを飲んで、識らないで....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
島の心臓を抑えても、数台の飛行機が、彼等の手中にある以上、動力を停めて、人造島を
溶かすと威かしても、彼等は、そのままに、飛行機に分乗して、危機を脱することが出来....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のに比ぶれば、恋愛が鼓吹するものはごくつまらないものである。幸いにも恋愛は意志を
溶かす。不幸にも恋愛は心を破る。いったい恋愛はなんのためになるのか? そして、....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ツでできるが、フランスでもできる。二寸四方の小さな鉄碪《かなしき》と鑞《ろう》を
溶かすアルコールランプとがあればよい。その鑞は、以前は樹脂と油煙とで作られていて....
「図書館法楽屋話」より 著者:中井正一
の読書力は日に日に落ちつつある。一年前『群書類従』の古本に売る値段は紙屋に硫酸で
溶かすために売る値段と余り違わず、日に日に焼けていったのであった。二十三年法隆寺....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ばにも至らぬころ、ポツリポツリと雨は落ちて来て、手にせるパレットの紅を散らし紫を
溶かす、傘をかざしてやや暫くは辛抱したが、いつ歇むとも思えぬ空合に、詮方なく宿に....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
てもらって、上に行くと漏斗があってそれに受けてもらい、それから先に行くと、人間を
溶かす機械があり、そこで錆を落し、いったん湯にとけて、今度鋳型に流し込まれると羽....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
うものを考えていた。
らかん橋の下を流れてゆく浅いきれいな水が、時々、粘土でも
溶かすように白く濁って、しばらくすると、また、それがきれいに澄んでいた。
見る....