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溶く
「溶く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溶くの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
婦は復た年を越した。 更に寒い日が来た。北側の屋根や庭に降った雪は凍って、連日
溶くべき気色《けしき》もない。氷柱は二尺、三尺に及ぶ。お島が炉辺《ろばた》へ行っ....
「蛇の花嫁」より 著者:大手拓次
がながし 病気《いたつき》の なやみの刺《とげ》をぬぎすてむ 薄氷《うすらひ》の
溶くる春のあをさに 白き芥子の花 わがおもひのいづみ かのひとは しろき芥子....
「姉川合戦」より 著者:菊池寛
その主力は、越前の朝倉である。 信長は、朝倉退治のため、元亀元年四月、北陸の雪
溶くるを待って、徳川家康と共に敦賀表に進発した。 しかも、前年長政に与えたる誓....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
めに発熱して、気候の激烈なるに驚かされる。降った雪は北向の屋根や庭に凍って、連日
溶くべき気色もない……私は根太の下から土と共に持ち上って来た霜柱の為に戸の閉らな....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
を―― 諸神、諸仏は知らぬ事、天の御罰を蒙っても、白雪の身よ、朝日影に、情の水に
溶くるは嬉しい。五体は粉に砕けようと、八裂にされようと、恋しい人を血に染めて、燃....
「愛よ愛」より 著者:岡本かの子
居るに相違ない。そういえばわたしとてよくもこの人を庇い通した――おもえば氷を水に
溶く幾年月。その年月に涙がこぼれる。 和服を着せれば幾日でもおとなしく和服を着....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
て黄檗のは古い種油と鼠の糞のようなボトボトの堅いメリケン粉を用いる。この粉を水に
溶く段取りになると、良人は手真似で、太い箸で器の向う側からガクガクと引っ掻くよう....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、鰺などの幾千ともなく水底を網に飜るありさま、夕陽に紫の波を飜して、銀の大坩炉に
溶くるに異ならず。)――人気がよくて魚も沢山だったんでしょう。磯端で、日くれ方、....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
《たやす》く出来る西洋菓子だが今の品物へ大きな玉子を六つ加えて粒のないようによく
溶くのだ。この溶き加減が少々むずかしい。柔《やわらか》過ぎてならず、固過ぎてなら....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
積まれた。 お湯浴みなども、久々であり、湯殿をめぐる湯けむりのうちに、妃たちの
溶く化粧のものの香や臙脂の艶めきが漂うなども、めずらしかった。それだけに帝や妃た....
「生き烏賊白味噌漬け」より 著者:北大路魯山人
○白味噌の有する水分では足りないから、冷酒を加えて、糠味噌ぐらいのやわらかさに
溶くこと。 ○魚類は切り身に一旦塩を振って、塩が中身まで通った時分(約五時間ぐら....