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溺れる
「溺れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溺れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
をして新円を稼いで行くことを、陽子の自尊心が許したのは、ホールの環境に汚れずに、
溺れるくらいダンスが好きでありながら、毅然として純潔を守って行く茉莉の自信の強さ....
「Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
はそれを墜落と呼んでいました。もし今度も墜落であったなら、泳ぎのできるK君です。
溺れることはなかったはずです。 K君の身体は仆《たお》れると共に沖へ運ばれまし....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
する。その姿は既に十分|憐れまれるに足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは水に
溺れる。そして僅かにそこから這い出ると、べそをかきながら又匍匐を続けて行く。この....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
生んでいるのに、思いあたった(この探偵小説家の名論が聞けるものなら)。――それは
溺れる者がつかむという藁以上のものであると、警部はみずからの心に弁解をして置いて....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
方面へ総退却した。この犀川をわたるに当って甲軍の新手の追撃をうけて或は討死し或は
溺れる者が続出した。犀川は水量が相当に多いのである。 越の殿軍甘粕近江守景持は....
「春昼」より 著者:泉鏡花
なさったそうな。これで御法の船に同じい、御堂の縁を離れさえなさらなかったら、海に
溺れるようなことも起らなんだでございましょう。 爰に希代な事は―― 堂の裏山....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
た。すべてが道徳を笑い、天帝を嘲り、永生を罵り、ひたすら汚泥の中に食い、飲み、又
溺れることを以て人生の快事とした。その形態は正に人間であるが、その心情は、遥かに....
「水の女」より 著者:折口信夫
た方がよさそうだ。「おつ」・「おちいる」という語の一つの用語例に、水に落ちこんで
溺れる義があったのだろう。自殺の方法のうち、身投げの本縁を言う物語を含んだもので....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ちまうだろう」と、彼は考える。「そうかと言って、泳ぎも知らないで川へ飛び込めば、
溺れるに決ってる。地べたに転がって死んだ真似をしていると、牡牛はこっちのからだを....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
らむやみと悪態を吐くのであった。 「ヤイ薄野呂! 間抜け野郎! そんな方へ行くと
溺れるぞ! そっちは淵だ! 深い淵だ! ヤイヤイ小僧どこへ行くんだ! そんな方へ....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
した。荒れ狂う浪を掻き分け掻き分け馬と人とは泳ぎに泳いだ。精も根も尽き果て、もう
溺れるより仕方がないと、こう彼女が思った時、眼前に石垣が現われた。伊太郎の家の石....
「終戦前後」より 著者:織田作之助
のだ。しかし、その時期はいつだろうか。「昭和二十年八月二十日」という日を、まるで
溺れるものが掴む藁のように、いや、刑務署にいる者が指折って数える出獄日のように、....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
が明く。勿論、深くはない、が底に夥多しく藻が茂って、これに足を搦まれて時々旅人が
溺れるので。――可心は馬を雇って、びくびくもので渉ったが、その第三の川は、最も海....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
トジョイを持ちだされてさえ激しく怒った彼である。ノリスの名がもう一度出るなどは、
溺れるための、最後の藁だった。彼はノリス説に対して呶罵を浴びせかけるとともに、ひ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
表現の技術を築きあげたことである。かくて、俊成のような隠者が、心から『古今集』に
溺れるということが、なかなか根本の問題だということになるのである。 それに、『....