滋味[語句情報] »
滋味
「滋味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
滋味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ある、全く余が心は宇宙の太陽系統から太陽を引き去った様に、最暗黒と為って了った、
滋味もない露気もない、此の後の生涯は、生涯の搾滓《しめかす》である、人間一人が生....
「鮨」より 著者:岡本かの子
入れた。 白く透き通る切片は、咀嚼のために、上品なうま味に衝きくずされ、程よい
滋味の圧感に混って、子供の細い咽喉へ通って行った。 「今のは、たしかに、ほんとう....
「食魔」より 著者:岡本かの子
食慾で拡がった。 アンディーヴの截片はお絹の口の中で慎重に噛み砕かれた。青酸い
滋味が漿液となり嚥下される刹那に、あなやと心をうつろにするうまさがお絹の胸をとき....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
浸みたのであろう、長ずるに及んで何不自由なき大名の身でありながら、葷腥を遠ざけて
滋味を食わず、身を持する謹厳で、超人間の境界を得たい望に現世の欲楽を取ることを敢....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
り漫歩の背景となりつつあるが為めにこの常設館のイルミネーションの中で完成されたる
滋味ある宝玉も同居するのだから、甚だそれはねぼけた存在と見え勝ちである。玉から云....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
と思う。 だから、この尖端的な世界にあっては、恋愛でも油絵でもが、少量の雅味と
滋味を断然排斥して清潔に光沢をつけ、観衆を集め、然る後用事がすめばさっさと取りは....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
に一縷の逃げ路を与えて寛ろがせるだけの余裕を、氏の善良性が氏から分泌させる自然の
滋味に外ならないのです。 氏は、金銭にもどちらかと云えば淡白な方でしょう。少し....
「「ファン」について」より 著者:伊丹万作
れらの人の言の全部が必ずしも肯綮に当るとはいわないがある程度までは必ず傾聴すべき
滋味がある。 私の経験からいえば、その反対の場合、すなわち自分の専門外のことを....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
りよがりの自慢の手料理が、それどころでなく、立派な饗宴の膳部の向附にもふさわしい
滋味を備えたものになるのである。 鶴見はそれだけの説明を分りやすいように砕いて....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
の情はまた是非わたくしに必要なものであったのです。かの水精の水したたる白い御手に
滋味を吸う鵠の鳥、水に浮くこの聖鳥の如くに、わたくしも亦暗い時の間には、斯人の手....
「恐妻家庭円満術」より 著者:小野佐世男
。 それからいたわりがカンジンです。家庭が冷たい家には亭主がなかなか帰らない。
滋味のある生活です。私は結婚するのに酒は飲んでもいいが、フグを食べることだけはや....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
本の醜業婦の勢力は露人を風化して次第に日本雑貨の使用を促がし、例えば鰹節が極めて
滋味あり衛養ある食料品として露人の間に珍重されて、近年俄に鰹節の輸出を激増したの....
「読むうちに思ったこと」より 著者:小川未明
のですが、そういう絵は、よ程いゝ筆者を待たなければなりません。 しかし、尽せぬ
滋味を汲むことには、絵も文章もかわりがないのです。むしろ、文章の方が、より多く想....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
緑のちりちりした葉に雨がいっぱいついている。そのサラダは全く地面から湧き出た
滋味そのものの新鮮さと気品とを飜えしている。 「お乳をかけましょうか。」 「いや....
「明石鯛に優る朝鮮の鯛」より 著者:北大路魯山人
、たい網に入るのだろう。それで朝鮮南端、瀬戸内海、北陸、山陰、みなこの季節は同じ
滋味を有しているのではないか。 毎年、北陸のほうでは、この優れたまだいを秋まで....