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滓
「滓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
滓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
て戯作者の厳《おごそ》かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生」は、あらゆるその残
滓《ざんし》を洗って、まるで新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いているでは....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ように思い思いの野菜を育てるのですからね。燐酸肥料《りんさんひりょう》をやる、油
滓《あぶらかす》をやる、温室へ入れる、電流を通じる、――とてもお話にはなりません....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
妖怪めいた夢幻的なものが、いっせいに掻き消えてしまって、まるで内臓の分泌を、その
滓《かす》までも絞り抜いてでもしまいそうな、おそらく現実の醜さとして、それが極端....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
この特権を捨てて、そのあとに残されるものは、捨てるにさえ値しない枯れさびれた残り
滓のみではないか。 けれども私はそこにも満足を得ることが出来なかった。私は思い....
「食魔」より 著者:岡本かの子
果を起すと共に、それ自身、食べて食べた負担を感ぜしめないほど軟く口の中で尽きた。
滓というほどのものも残らない。 「口惜しいけれど、おいしいわよ」 お絹は唾液が....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
洋橙の中に、青酸加里が仕込まれてあったのだよ。現に、口腔の中に残っている果肉の噛
滓からも、多量の物が発見されているし、何より不思議な事には、それが、最初口に入れ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
ますが、その時、ちゃら金が、ご新姐に、手づくりのお惣菜、麁末なもの、と重詰の豆府
滓、……卯の花を煎ったのに、繊の生姜で小気転を利かせ、酢にした※鰯で気前を見せた....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
案内して貰って薬師堂を調べる事にしよう」 薬師堂の階段を上ると、中央には香の燃
滓が山のように堆積している護摩壇があり、その背後が厨子形の帷幕になっている。幕が....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
切れてからというものは……それからというもの……私は破壊され荒され尽して、ただ残
滓と涙ばっかりになった空虚な身体を、いま何処で過ごしているとお思いになりまして。....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
を引きはじめ、吃驚したお岩が櫛を捨て、右手に髪をひん掴むと、それは内臓の分泌を、
滓までも絞り抜くかと思われるような怖ろしさだった。 ばらりと抜けた一つかみの毛....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
イルほどの、おそろしい死の沼だ。水面は、みるも厭らしいくらい黄色をした、鉱物質の
滓が瘡蓋のように覆い、じつは睡蓮はおろか一草だにもなく、おそらくこの泥では櫂も利....
「キド効果」より 著者:海野十三
たいとか天丼をムシャムシャやりたいとか興奮してくる。夜となれば昼間の精神的刺戟が
滓の如く析出してきてこれが夢という興奮を齎す。興奮のない人間というのは殆んど稀じ....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
ようにしたかった。本当にはっきりそうしたかった。腕で引き裂いて総歯で噛み砕いて、
滓にして吐き出して、それを靴の踵で踏みにじって、それから火葬場の炉の中ですっかり....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
く砂が踏まれていると思うような日が幾日も続いた。太陽だけが日に一つずつ空に燃えて
滓になった。 この広漠たる沙漠のなかを案内者は杖を振り先頭に立って道を進めた。....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
奉公の実を挙ぐるため武道教練に精進すべきは当然であり、国防国家の今日、旧時代の残
滓とも見るべきかくの如き特権は速やかに撤廃すべきである。中等学校以上に入らざる青....