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漂泊
「漂泊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漂泊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《ささや》くままに、あの湖を後《あと》にしてから、ちょうど満七年の間、はてしない
漂泊《ひょうはく》を続けて来た。そうしてその七年目の夏、彼は出雲《いずも》の簸《....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
や焼肴《やきざかな》を注文しなくとも飯は食えるのだ。 予はあくまでも風のごとき
漂泊者である。天下の流浪人である。小樽人とともに朝から晩まで突貫し、小樽人ととも....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
士一行の存在もまた秘密に保たれることになったのである。サンキス号はその夜は海上に
漂泊し、この翌日の夜になってテームズ河を溯江し、ロンドン港に入った。そこで博士と....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
にならないが、この種の作品においてはかなり重要な問題であると思う。 私がかつて
漂泊の癩者を何人となく見てきた経験によると、現実の癩者を見て同情の涙をもよおすよ....
「階段」より 著者:海野十三
はその父の変質をうけ継ぎ、小さい頃から自らすすんで曲馬団の中に買われて日本全国を
漂泊していたのを、友江田先生がヤッとすかして連れもどり、タイピスト学校に入れたり....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
なのだ。彼は元々、極端な享楽児で、趣味のために、いろいろな職業を選び、転々として
漂泊をした。その間にも電気の職工にもなって高圧電気の取扱いも知っていた。更にわる....
「遊星植民説」より 著者:海野十三
殖えて、この地球の上には載りきらないのも一つじゃ。だが、それだけではない。人間の
漂泊性じゃ。人間の猟奇趣味じゃ。満員電車を止めて二三台あとの空いた車に載りたいと....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ないものであった。 何がそうその男を苦しめて、陸の生活を避けさせ、海の上ばかり
漂泊さすのか。 ひょっとしたら、他に秘密な女でもあって、それに心が断ち切れない....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
あがるかもしれませんから、よろしく。なお、今から二十四時間は、ぜひともいっしょに
漂泊していただきたいのですが、――これは国際救難法にもとづいての申し入れなんです....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ルソン市だけでも五百人から居る所謂かんかん虫の事であるから、縦令市の隅から隅へと
漂泊して歩いた私でも、一週間では彼等の五分の一も親交にはなって居なかったが、独り....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
まで、辛うじて凌いだが、平屋はほとんど濁流の瀬に洗われた。 若い時から、諸所を
漂泊った果に、その頃、やっと落着いて、川の裏小路に二階|借した小僧の叔母にあたる....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
汚れた布に――すぐ、分ったが、――三味線を一|挺、盲目の琵琶背負に背負っている、
漂泊う門附の類であろう。 何をか働く。人目を避けて、蹲って、虱を捻るか、瘡を掻....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
のに、今度の像に限って、おまけに、素足とも言わない、跣足がお痛わしい――何となく
漂泊流離の境遇、落ちゅうどの様子があって、お最惜い。そこを鼠が荒すというのは、女....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
た、――これは名だたる師匠の細工場に籠ってして、懐中のある間は諸国旅行ばかりして
漂泊い歩行く。 一向に美術家でない。錺屋、錺職をもって安んじているのだから、丼....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
杓とともに、助手を投出すと斉しく、俊明先生の兀頭は皿のまわるがごとく向かわって、
漂泊の男女の上に押被さった。 「別嬪。」 「あれ、天……狗……さん。」 「しかり....