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漫歩
「漫歩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漫歩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「指と指環」より 著者:佐左木俊郎
婦人は銀座の舗石道《ぺーヴメント》に出た。青や赤や黄や薄紫の燈光がゆらめく中に、
漫歩する人々の足音が賑かに乱れていた。婦人は最初、時々背後の方を振り返りながら、....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
冷い石塔に手を載せたり、湿臭い塔婆を掴んだり、花筒の腐水に星の映るのを覗いたり、
漫歩をして居たが、藪が近く、蚊が酷いから、座敷の蚊帳が懐しくなって、内へ入ろうと....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
ましていた。九月九日謙信は重陽の佳節を祝した後、夕方例の如く古詩を誦しつつ高地を
漫歩しつつ遙に海津城をのぞめば炊煙異常に立ちのぼっている。謙信は忽ち甲軍の出動を....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
より昆布まきあり候。) ……のんびりとしたものだ。口上が嬉しかったが、これから
漫歩というのに、こぶ巻は困る。張出しの駄菓子に並んで、笊に柿が並べてある。これな....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
性を目指しての突進は砲弾を発射した如くである。二人の娘がある日小川の流れに添うて
漫歩していた時、一匹の男鹿が女鹿を見て走り出した。不幸な娘達はちょうどその弾丸の....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
る。殊に銀座を散歩する如く、秋の季節において友人と、女の友と、断髪の彼女とともに
漫歩の背景として展覧会場を撰ぶ事は、甚だ適当でもある。即ち日本における尖端芸術の....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
はないのだから、ちっとも笑ってみたくも何ともないのだ。 しかし、漫のつくものは
漫歩、漫談、漫画、漫遊、漫筆等、肩のこらない気安さはあっていい。だが私はなぜか近....
「野道」より 著者:幸田露伴
。 書中のおもむきは、過日|絮談の折にお話したごとく某々氏|等と瓢酒野蔬で春郊
漫歩の半日を楽もうと好晴の日に出掛ける、貴居はすでに都外故その節お尋ねしてご誘引....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
くちらちらと黄昏の光を放って、水打った跡を、浴衣着、団扇を手にした、手拭を提げた
漫歩の人通、行交い、立換って賑かな明い中に、榎の梢は蓬々としてもの寂しく、風が渡....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
感じがしなくなり、それに連れて私自身の気持もずっと晴れやかになり、戸外へ出掛けて
漫歩でもして見たいというような風になりました。たしかにこちらでは気分と境涯とがぴ....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
の蕭条をまづ第一に味わいに来たのは Boulevardier(界隈の人、或は大通
漫歩の人と訳すべきか)と呼ばれている巴里の遺物である。大体、戦前から戦後にかけて....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
しい娘達が、守護するように真ん中に包んで、長閑に話したり歌ったりして、ゆるゆると
漫歩して来るのであった。飛騨の山の中でも白河戸郷といえば、日あたりの良いいい土地....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
すると、前方から有閑婦人が頗る高貴な銀狐の毛皮を首にまきつけ、しゃなりしゃなりと
漫歩してきた。婦人は素敵な美人であったけれどそれよりも私ら仲間の注目をひいたのは....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
はまた立上った。そしてズボンの隠しに両手を入れて思案深い、やや老獪な態度で室内を
漫歩しながら続けた。 ――だが、私共はいくつでもブレーキを持って居るのです。自分....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
こから『この土手に登るべからず』という時代遅れの制札が取除かれ、自由に愉快に逍遙
漫歩を楽しみ得るの日の来らんことを鶴首している次第である。 どこかでビールでも....