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漸々
「漸々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漸々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
《そのときぼさつびをしょくし》已訖従座而起《すでにおわりてざよりしてたつ》。安庠
漸々《あんじょうにぜんぜん》向菩提樹《ぼだいじゅにむかう》。』どうじゃ。『安庠漸....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
めた。 「覚えがあるのでございますもの。貴下が気をつけて下すって、あの苫船の中で
漸々自分の身体になりました時も、そうでした、……まあ、お恥かしい。」 といいか....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、
(おや、貴僧《あなた》、どうかなさいましたか。)
急にものもいわれなんだが
漸々《ようよう》、
(はい、なあに、変ったことでもござりませぬ、私《わし》も嬢様....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
家を出て一月|余、山へ入って、かれこれ、何でも生れてから死ぬまでの半分は※って、
漸々其処を見たように思うですが。」 高坂は語りつつも、長途に苦み、雨露に曝され....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
うべし。しかれども、大学のことたる大業なり。一朝に創して一夕に成るべきにあらず、
漸々次々その序を追って基礎を起こし、大成を数年の後に期するを要す。ゆえに、余はこ....
「鎖工場」より 著者:大杉栄
する。 戦闘は自我の能力の演習である。自我の権威の試金石である。俺達の圏内に、
漸々になまけものを引寄せて、そいつらを戦士に化せしめる磁鉄である。 そしてこの....
「子供の霊」より 著者:岡崎雪声
く一人で床に入った。夜が更けるにつれ、夜伽の人々も、寝気を催したものか、鉦の音も
漸々に、遠く消えて行くように、折々一人二人の叩くのが聞えるばかりになった。それは....
「死神」より 著者:岡崎雪声
た地に映る我影を見ながら、黙って歩いて来ると偶然故郷のことなどが、頭脳に浮んだ、
漸々自分の行末までが気にかかり、こうして東京に出て来たものの、何日我が望が成就し....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
彫っている姿が眼に泛ぶ。頼家の姿が浮ぶ。修禅寺の僧が泛ぶ……というような順序で、
漸々に筋を纏めて行く中に、二人の娘や婿が自然に現われる事になったのです。しかし作....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
実らしいかは、終末まで読んで見れば自然に判る。 嘘らしいような不思議の話でも、
漸々に理屈を詮じ詰めて行くと、それ相当の根拠のあることを発見するものだ。 勿論....
「赤い船」より 著者:小川未明
りしたいものだと考えました。見るうちに赤い船は、だんだん遠ざかってしまった。日は
漸々西に傾いて、波の上が黄金色に輝いて、あちらの岩影が赤く光った時分には、もうそ....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
れば、余の帆船はすでにことごとく一団の火焔となり、火勢はその絶頂を過ぎてこれより
漸々下火にならんとす、余は呆然として船首より船尾へと走りしが、炎々と閃めく火光に....
「臨終まで」より 著者:梶井久
。如何にしても眠れない。 二十三日、今日も朝から息苦しい。然し、顔や手の浮腫は
漸々減退して、殆んど平生に復しました。これと同時に、脚や足の甲がむくむくと浮腫み....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
最後の一句で又た皆がどっと笑った。 「それで二人は」と岡本が平気で語りだしたので
漸々《ようよう》静まった。 「二人は将来の生活地を北海道と決めていまして、相談も....
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
…」 「だって先刻《さっき》用意してあると言ったじゃないか」 「ですから三円だけ
漸々《ようよう》作《こし》らえましたから……」 「そうお。
漸々作らえておくれだっ....