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漸う
「漸う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漸うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
から液に漬け、指の間に入れて破って見た。この間ファラデーは黙ってやっておったが、
漸う口を開いて、「そうだ、軟いが、なるほどすぐに脆くなる。」しばらくしてこれに附....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
事に抜けて自由の体に成るので有った。竜次郎は真底から驚嘆せずにはいられなかった。
漸うしている間に竜次郎は、始終無形の縄に縛られて、緊く繋がれたような気持がして、....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
れの心一ツで親女房に憂目を見するという事に其時はツイ気が付かなんだが、今となって
漸う漸う眼が覚めた。 ええ、今更お復習しても始まらぬか。昔を今に成す由もないか....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の荷物になったです。その時の重いことと言ったら堪らなかった。けれども仕方がない。
漸うの事でそれを背負い出立したです。なかなか重い荷物を背負って坂を下るというのは....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
人では有りませんか、何うか然る可く差し図して下さい」と、少し花を持せると、お浦は
漸う機嫌も直り直ぐに鈴を鳴らして給仕を呼んだ、給仕は遣って来て皿の一二枚割って居....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
も眩み、見当違いのところへ水を掛けておりますから、新三郎の手も彼方此方と追かけて
漸う手を洗い、嬢様が手拭をと差出してもモジ/\している間、新三郎も此のお嬢は真に....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
は縛られて二番町の町会所へ送られ、私は物置の中に隠れて居て見付からなかったから、
漸う這出して、皆出た後でそうっと抜出して此処まで来たのでげすがな、私がぐずぐずし....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
困る、親に知れては成らん、知っての通り親父は極堅いので、あの手紙を書くにも隠れて
漸う二行ぐらい書くと、親父に呼ばれるから、筆を下に置いて又|一行書き、終いの一行....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
娘を相手にして春見丈助は色々の事に手出しを致したが、皆|失敗って損ばかりいたし、
漸うに金策を致して山師で威した宿屋、実に危い身代で、お客がなければ借財方からは責....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
ろ/\難所へかゝります。三国峠へ差しかゝりました文治と妻お町の二人連れ、 文「
漸うのことで國藏、森松、亥太郎の三人を言い伏せて出立いたしたが、いや藤原は身内の....
「闇夜の梅」より 著者:三遊亭円朝
に逢いとうて逢いとうてどうもならぬであった、私《わたい》も逢いとうてならぬから、
漸うの思いで参りました、私《わたい》もそう長う寺に辛抱しては居られまへぬ、あんた....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
道楽におちて、父親の勘当容易にゆりなかったを、番頭、手代、親戚、縁者の詫び言で、
漸う元の若旦那に立ちかえる。しかしそれでも初夏の朝々にこの声を耳にしては、心自ら....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
って戻ったのだが、誰れが植えたか、投げ植えるようにしてあるのが、今時分になって、
漸う/\数えるほどの花が白く開いている。 あゝ、そう思えば、あの戸袋の下の、壁....
「月明」より 著者:豊島与志雄
でついて来ます。少し気味悪くなってきたので、漁夫達は力のあらん限り漕ぎまくって、
漸う岸まで戻ってきて、ほっと後ろを振り返ると、今まで同じ速さでついてきていたその....
「変な男」より 著者:豊島与志雄
固くかしこまったまま、もう身動き一つしなかった。 暫く沈黙が続いたのを、辰代が
漸う口を開いた。 「私共ではこの二人きりで、手不足なものでございますから、何もか....