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潤す
「潤す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潤すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「近時政論考」より 著者:陸羯南
存するを知り、アリストートのごとき奴隷論者さえ出でたり。しかりといえども人心に浸
潤する気質慣習は容易に回すべからず、専制論者の説はもと最上の権力を固くしてもって....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
の調子が狂うと、なかなか元には返りませんからね。それには始終そのすさんだ心を温め
潤す愛がはたになければなりません。それだのにあのかたの周囲には、その愛が欠けてい....
「老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
あるのみじゃ。交易致さば国に小判が流れ入るは必定、小判が流れ入らば水じゃ。低きを
潤す水じゃ。下積の者共にも自と潤いが参ろうわ。ましてやポルトガル国はもう三年来、....
「南路」より 著者:宮本百合子
難像とたくさんの聖書。 彼等の玉蜀黍がよく実り、ほどよい雨と虹とが彼等の天地を
潤すようにと、玉蜀黍の花粉を撒いて祈祷を捧げるインディアンは、これ等、南欧に源を....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
流れを貪り汲まんとする彼らをして、ローマの街にありという清洌なる噴泉を掬んで渇を
潤すことを知らしめねばならない。 思えば今を距る二千六百年の昔、「わが」哲学が....
「今日の文学の展望」より 著者:宮本百合子
志に自己を燃焼した」作家としてマルロオの諸作品。「人性の創造的行動のうちに深く滲
潤することによって生活のリズムを把握しようとする」作家としてフェルナンデスの作品....
「生活のなかにある美について」より 著者:宮本百合子
いう製作品の味いで日常生活を特色づけ豊かにしているかと云えば、今日ではその地方を
潤す色彩としてよりも、寧ろ郷土物産として都会へ売り出される目的でつくられる方が多....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
限って見受けられるものではなく、経済機構乃至社会の物質的土壌にまで観念の作用が浸
潤する限り、この物質的な社会機構の或るものにもその特徴を押し与えているものではあ....
「娯楽論」より 著者:戸坂潤
ゲームのようなものにならざるを得ない。そしてこういう風に社会化されて日常生活に浸
潤する場合、それは同時に娯楽的な意味を得て来るのである。同様なことは娯楽としての....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
楽しんだということだが、全く、静かな心境で、夜の雨が軒をめぐって心耳《しんに》を
潤す快味は得もいわれない。ところが、その夜更けの幾時かになると、庵《いおり》の表....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ということとは別なのです、今日の性格ね。
詩集のはなし、詩集は本当に心をやすめ
潤す力をもっているとおどろきます。手紙ひとまとめに風呂しき包みになるのもいいけれ....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
てありながら、宝書中に記す所は明かに現行法律に反《そむ》くもの多し。其の民心に浸
潤するの結果は、人を誤って法の罪人たらしむるに至る可し。教育家は勿論政府に於ても....
「京都学校の記」より 著者:福沢諭吉
し、その言行を聞見し、愚痴《ぐち》固陋《ころう》の旧習を脱して独立自主の気風に浸
潤することあらば、数年の後、全国無量の幸福をいたすこと、今より期して待つべきなり....
「味覚馬鹿」より 著者:北大路魯山人
腐、湯葉、ぜんまいなどであった。この一見まずい材料をもってして、貴族、名門の口を
潤すべき料理を考案しなければならなかった。こうした材料、こうした土地柄が、立派な....
「政事と教育と分離すべし」より 著者:福沢諭吉
だ洽《あま》ねからざるを知るべければなり。教育の効の緩慢にして、ひとたびこれに浸
潤するときは、その効力の久しきに持続すること明に見るべし。 政事の性質は活溌に....