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「濁る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濁るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
て惹きつけられて行くのがマニヤの自虐性であり、当然アンプルを割る音は頽廃の響きに濁る筈だのに、ふと真空の虚ろに澄んでいるのは、頽廃の倫理のようでもあった。 だ....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
良丸がうたい、 「向うは下総《しもうさ》葛飾郡、前を流るる大河は、雨さえ降るなら濁るるなれど、誰がつけたか隅田川ドンドン」 と昔|円車《えんしゃ》が歌った隅田....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
は胸を張り広げて吸い込んでいる。君の住む岩内の港の水は、まだ流れこむ雪解の水に薄濁るほどにもなってはいまい。鋼鉄を水で溶かしたような海面が、ややもすると角立った....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
けんとするがごとく、敦としてそれ樸のごとく、曠としてそれ谷のごとく、渾としてそれ濁るがごとし(二二)。」士にとって人生の三宝は、慈、倹、および「あえて天下の先と....
露肆」より 著者:泉鏡花
払う。 そこで、公衆は、ただ僅に硝子の管へ煙草を吹込んで、びくびくと遣ると水が濁るばかりだけれども、技師の態度と、その口上のぱきぱきとするのに、ニコチンの毒の....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
身節がなえて、嬉しくなる。その内に波立ちもしないで、水の色が濃くなって、小濁りに濁ると思うと、ずっと深さが増して、ふうわり草の生えた土手へ溢るんだがね、その土手....
三十歳」より 著者:坂口安吾
より、なんだか、いかにも悪者らしく、不潔な魂が目だってくる。ヒゲがあると、目まで濁る。陰鬱で、邪悪だ。 そのくせ不精な私は、却々ヒゲを剃ることができない。私の....
剣侠」より 著者:国枝史郎
」 「いいえ、一人で……でも時々は……一座を作っても居りました」 やはり言葉が濁るのであった。 「なぜそれにしても旅へ出ますと、わしに話してはくれなかったのだ....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
、力殊に金銭の力を以て満足せらるるものと、浅薄な誤信普及の結果である。澄むの難く濁るの易き、水の如き人間の思潮は、忽ちの内に、濁流の支配する処となった、所謂現時....
妖怪学」より 著者:井上円了
は雨と日和の二つなり変らぬ時に見るはまれなり 鳥の声すみてかるきは日和なりおもく濁るを雨気とそ知る 小便のしけきは日和のむ水の腹にたもつを雨と知るへし のみや蚊....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
ふたつなり かわらぬ時に見るはまれなり 鳥の声すみてかるきは日和なり おもく濁るはあまけとそしれ 今度は少しきたないのですが、 小便のしげきは日和、飲水の....
くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
都・久求都、或いは多邇久々とある。それを久爾具久ともあるのは、下についた音の頭を濁る例によったので、クグツというのもやはり音の転訛であると考えられる。 最後に....
西航日録」より 著者:井上円了
、また同感なり。要するに、工業と風景とは両立し難きものと知るべし。 木の黒く河の濁るは工業の土地に栄ゆる印なりけり 一日晴天を卜し、渓流にさかのぼること八マイ....
鮑の水貝」より 著者:北大路魯山人
注意しなければならない。 腸を食べる方法は、水貝の時、生で器の中に入れると水が濁るから水貝と離して食べるほうがよい。生で食うにしても、そうしたほうがよろしい。....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
たり澄んだりした、それと共に私達の心も暗くなったり明るくなったりする。其中に段々濁る一方になったので、私達の心も亦益々暗くなって行くのは情なかった。昼過に助七が....