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「濃さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
である。何の支障するものなく自然に極めて自由に生い育った彼は、その樹幹の茶褐色の濃さ、その葉の緑青の濃さ艶々しさ、吹き起る微風と共にあたりに仙気がむらがって見え....
火星探険」より 著者:海野十三
るのであった。火星には空気が少い。これまでに研究せられたところでは、火星の空気の濃さは地球で一番高いといわれる標高八千八百八十二メートルのエベレスト峯頂上の空気....
食魔」より 著者:岡本かの子
た。家鴨の血をアルコールランプにかけた料理盤で掻き混ぜてみると上品なしる粉ほどの濃さや粘りとなった。これを塩胡椒し、家鴨の肉の截片を入れてちょっと煮込んで食べる....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
低まって、その轟きがいくぶん衰えたように思われたが、闇はその頃になるとひとしおの濃さを加えた。 その深さは、ものの形体運動のいっさいを呑み尽してしまって、その....
」より 著者:カフカフランツ
だ。ところでその髭だが、彼ら二人にはそれがすこぶる大切であり、何度でもその長さや濃さをたがいに比べ合い、フリーダにどちらのほうがりっぱか判定してもらうのだった。....
怪しの館」より 著者:国枝史郎
、見て取った彼女の顔形は、全く美しいものであった。キッパリとした富士額、生え際の濃さは珍らしいほどで、鬘を冠っているのかもしれない、そんなように思われたほどであ....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
葉まで深紅に染った満山の紅葉を詠めつつ、再び戦場ヶ原の人となった。そして一しおの濃さを加えた中禅寺湖畔の秋色も、また心を惹くに足らぬとように側目もくれず道を急いだ。 (大正一二、五『山岳』)....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
樹の裾模様を着た山を抱えるように其|脊へ廻っている。其あたりから谷間の翠は一段と濃さを増して、南又の奥は深い湖の底を覗くように思われた。 私達の心は知らぬ間に....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
幾筋となく繋がっては、環を作る。やがて柔らかな大曲りをして消える。痕を残さない、濃さと淡さの碧が、谷から舞い上る霧のほむらに、ぬらりと光る。さわると、鱗でも生え....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
に移された。湯と水とに対する親しみの力、貴賤貧富の外にあるむなしさ、渋さと甘さと濃さと淡さとを一つの茶碗に盛り入れて、泡も汁も一緒に溶け合ったような高い茶の香気....
斜陽」より 著者:太宰治
て、それは恋でも愛でもなかったけれども、年月の経つほど、その虹はあざやかに色彩の濃さを増して来て、私はいままで一度も、それを見失った事はございませんでした。夕立....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ではそうは見えなかった。ほつれて下がっている一ふさの金髪から見ると、髪はいかにも濃さそうに思えるけれど、あごに結びつけたきたない固い小さな尼さんのような帽子のた....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
紫が埃及《エジプト》の日で焦《こ》げると、冷たい短刀が光ります」 「このくらいの濃さ加減なら大丈夫ですか」と言う間《ま》もなく長い袖《そで》が再び閃《ひらめ》い....
九条武子」より 著者:長谷川時雨
ぬ痴人《しれびと》 夕されば今日もかなしき悔《くい》の色|昨日《きそ》よりさらに濃さのまされる 水のごとつめたう流れしたがひつ理《ことわ》りのままにただに生きゆ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
。……眼にあまりまして、去んぬる年、勘当いたしましたが、いかに無頼でもそこは血の濃さ。……弟、源吾のほしがる雪を盗みとって家さきに投げこんだものと察し、生さき短....