濃化[語句情報] » 濃化

「濃化〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃化の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大阪万華鏡」より 著者:吉行エイスケ
テルの寝床からそのまま父の輸出綿花事務所へやってくると、夜の疲労をぬりかくした、濃化粧したタイピストが電話機の電鍵《でんけん》を敲《たた》くように、昨夜の記憶を....
笑う唖女」より 著者:夢野久作
行動を跟《つ》けて来たらしい花嫁の初枝の、冴え返った顔が覗いていた。昨夜のままの濃化粧と、口紅のクッキリとした、高島田の金元結《きんもとゆい》の艶《なま》めかし....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
蟹工船は「工船」(工場な「梅毒患者」のような船が、恥かしげもなく、上べだけの濃化粧をほどこされて、函館へ廻ってきた。日露戦争で、「名誉にも」ビッコにされ、魚....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
は年上で、もう五十位にはなっているのだろう。彫の深い面のような顔、表札の陶に似た濃化粧だ。奥さんの姪《めい》が一人。赤茶色の艶《つや》のない髪を耳かくしに結って....
百花園」より 著者:宮本百合子
水浅黄っぽい小紋の着物、肉づきのよい体に吸いつけたように着、黒繻子の丸帯をしめた濃化粧、洋髪の女。庭下駄を重そうに運んで男二人のつれで歩いて来た。 「どっちへ行....
女の一生」より 著者:森本薫
か、私にもよくわからないけれど……。 総子、ふみよりずっと派手な衣裳。若づくりの濃化粧。 総子 ああ暑い、何て蒸すんでしょうね今日は。(袂で煽ぎながら)夜になっ....
つぼみ」より 著者:宮本百合子
ベッて行きたい、心の底に小さい又すてがたい詩の湧いて居る気持で―― 唐人まげに濃化粧の町娘にも会うだろうし、すっきりしたなりの女にも会うだろうし―― 銀座の....
ひな勇はん」より 著者:宮本百合子
ちゃんは? 雛勇さんは?」こんな事を云ってぽっくりの群の中に雪駄が妙に見える様に濃化粧に唐人まげに云ったなまめいた人の群に言葉から様子までまるで異った私がポツン....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
の花弁が枝からもげて、時々舞台へ散ってくるのも、なかなか風情のある眺望であった。濃化粧の顔、高島田、金糸銀糸で刺繍をした肩衣、そうして熨斗目の紫の振袖――そうい....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
唐草の三揃いの寝具に埋もれて、お浦が寝ていた。夜具の襟が、頤の下まで掛かってい、濃化粧をしている彼女の顔が、人形の首かのように、浮き上がって見えていた。眼は細く....
南国太平記」より 著者:直木三十五
擦れの音がして、襖が開くと 「お久し振り」 将曹の愛妾、お高が、真紅の襟裏を、濃化粧の胸の上に裏返して、支那渡りの黒繻子《くろじゅす》、甚三紅の総絞りの着物の....