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「濃緑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃緑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
夢の世界は鉄もとろけるような熱い国であった。そこには人の衣《きぬ》を染めるような濃緑の草や木が高く生《お》い茂っていて、限りもないほどに広い花園には、人間の血よ....
屋上の狂人」より 著者:菊池寛
は結《ゆ》いめぐらした竹垣に遮《さえ》ぎられて見えない。高い屋根ばかりが、初夏の濃緑な南国の空を画《かぎ》っている。左手に海が光って見える。この家の長男なる義太....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
の水は、その絶壁に吸い寄せられたように、ここに慕い寄って、絶壁の裾を洗いながら、濃緑の色を湛えて、渦巻いている。 里人らが、鎖渡しといったのはこれだろうと、彼....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
がパカパカと聞こえ、そうして鈴の音がシャンシャンと鳴る。 少し秋めいた夏の陽が濃緑の葉を明かるめている。人通りがないので寂しいが、それだけに長閑と云ってもよい....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
雑をくりかえしている。 目に見える「魔の空間」だ。それははじめてのことだった。濃緑色と暗褐色のだんだらに塗られた、西瓜のお化けのような「魔の空間」だった。 「....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
に南進して黒潮を乗切ると、もう人間の力は幽霊と妖気に降服してしまっていた。大洋と濃緑の山と草木の重々しき重なりの連続であり、殊に九里峡と瀞八丁の両岸に生い茂る草....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
夜少年の気着かぬ間に、振袖に緋の扱帯した、面が狗の、召使に持たせて、われら秘蔵の濃緑の酒を、瑠璃色の瑪瑙の壺から、回生剤として、その水にしたたらして置くが習じゃ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
後から煽っている……吹靡く袖で抱込むように、前途から飛着いた状なる女性があった。濃緑の襟巻に頬を深く、書生羽織で、花月巻の房々したのに、頭巾は着ない。雪の傘の烈....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
フォン・エッセン男爵の霊の上に、安らかな眠りあらんことを……」 三、濃緑の海底へ 艇長フォン・エッセン男の死体が消失した、しかも蒼海の底で、密閉し....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
とかぶっている姿は、どうにも異様といわなければならない。以上を簡単に形容すれば、濃緑の立ち木に取り巻かれて、黒塗りの朱総金銀|蒔絵の駕籠が、ゆらめき出たというこ....
取舵」より 著者:泉鏡花
陰晴すこぶる常ならず。日光の隠顕するごとに、天の色はあるいは黒く、あるいは蒼く、濃緑に、浅葱に、朱のごとく、雪のごとく、激しく異状を示したり。 邇く水陸を画れ....
決闘場」より 著者:岡本かの子
ら複雑な枝葉を大空に向けて爆裂させ、押し拡げして、澄み渡った中天の空気へ鮮やかな濃緑色を浮游させて居る。立ち並ぶそれらの大樹の根本を塞ぐ灌木の茂みを、くぐりくぐ....
画道と女性」より 著者:上村松園
紫地のものと対象させることにしたくらいより変更しなかった。もっとも屈んだ女の帯の濃緑地の上に、金糸の刺繍を見せた泥描きの模様を、新規のものはお目出度い鳳凰模様と....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
朝から夜中まで、書類の上で動き続けた。いまはもう人前に出ることもやめている。――濃緑の壁掛けの垂れ下がった小室のなかで――秘密に、ひっそりと、けっして疲れず、し....
春の大方山」より 著者:木暮理太郎
名残の雫がはらはらと滴っている。石の瑞牆を廻らした随身門の内にも桜が多い。それが濃緑の大きな杉森を背景として、くっきりと白く浮き出している、華やかで神々しい。普....