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濡る
「濡る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濡るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
辱であると言い囃《はや》されて、世にあるほどの殿上人は競ってここに群れ集まった。
濡るるとも花の蔭にてという風流の案内であったが、春の神もこの晴れがましい宴《うた....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
い者共も二頭三頭と次々引出して来る。 人畜を挙げて避難する場合に臨んでも、なお
濡るるを恐れておった卑怯者も、一度溝にはまって全身水に漬っては戦士が傷ついて血を....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
てはならない友であろう。私の覚ゆる悲哀は一には君のために覚ゆる悲哀である。春雨に
濡るる若草のごとくに甘い、懐かしい、潤うた悲哀である。君無くば乾からびた味の無い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
三十九 例の、その幻の雨とは悟ったものの、見す見すひやりとして
濡るるのは、笠なしに山寺から豆腐買いに里へ遣られた、小僧の時より辛いので、堪りか....
「源氏物語」より 著者:紫式部
らぞ憂《う》き 古い歌にも「悔《くや》しくぞ汲《く》みそめてける浅ければ袖のみ
濡るる山の井の水」とございます。 というのである。幾人かの恋人の中でもすぐれ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
「りっぱな歌人なのだね、この女王は。昔風の歌|詠《よ》みはから衣、袂《たもと》
濡るるという恨みの表現法から離れられないものだ。私などもその仲間だよ。凝り固まっ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
たるるあまかな と中の君へ訴えた。 「しほたるるあまの衣に異なれやうきたる波に
濡るる我が袖 世間へ出て人並みな幸福な生活が続けていけるとは思われないのだから....
「源氏物語」より 著者:紫式部
掛けの所に見つけて薫は中へ引き入れた。 かたみぞと見るにつけても朝霧の所せきまで
濡るる袖かな この歌を心にもなく薫が口に出したのを聞いていて尼は袖を絞るほどに....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
にじりだしてきた。 そっと体を横に捻って、床下から上を覗くと、銀五郎の半身は、
濡るるを忘れて、弦之丞の帰りを気づかいながら、また独りごとを洩らしている。 「ひ....
「三国志」より 著者:吉川英治
呉を一挙に粉砕せんとし、感慨尽きないものがある。ああ大丈夫の志、満腔、歓喜の涙に
濡る。こよいこの絶景に対して回顧の情、望呉の感、抑えがたいものがある。いま予自ら....
「三国志」より 著者:吉川英治
き起って、白濛々黒迷々、彼方の車は目の前にありながら、馬は口に泡を噛み、身は汗に
濡るるばかりで、少しも距離は短縮されないのであった。 「奇怪奇怪。おれたちはもう....