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濡れ色
「濡れ色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濡れ色の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「食魔」より 著者:岡本かの子
中にか白雲の一浮きが軽く渡って行く。その一浮きは同時にうたた寝の夢の中にも通い、
濡れ色の白鳥となって翼に乗せて過ぎる。はつ夏の哀愁。「与四郎さん、こんなとこで寝....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
は額にかかる髪を掻き揚げながら、 「御免なさい、こんな風して。」 黒い髪の陰に
濡れ色をした大きい目を見ながら、庸三は多分隔日くらいにガアゼを取り替えに来て、ず....
「旅愁」より 著者:横光利一
という意味だということを、ふと矢代は思い出した。そして、黒塗に映えた鮪の鮮やかな
濡れ色から視線が離れず、テーブルに凭れて初めて、彼はいつも一番舌の上に乗せたかっ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ムエルの眼はやがて自分の眼であるに違いない。 部屋の中の家具に塗ってあるニスが
濡れ色になって来て、銀色の金具は冷たく曇った。もうたそがれだ。新吉はいつもの生理....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
いとも思わないのに岸に繋いである筏の傍には焚火が煙りを立てていた。すべてのものは
濡れ色をしていた。白い煙さえも液体に見えて立騰っていた。 川上の上は一面に銀灰....
「唇草」より 著者:岡本かの子
重が囁いたと思うほど、花は従弟の唇を思い出させた。ふっくりしていて、幼くてしかも
濡れ色に燃えている。それはやや頬の高い彼の青白い顔に配合して、病的に美しかった。....