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灌木
「灌木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灌木の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
でいるのは古い杉《すぎ》の木立《こだ》ちだった。花壇らしい竹垣《たけがき》の中の
灌木《かんぼく》の類は枝先を地につけんばかりに吹きなびいて、枯れ葉が渦《うず》の....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、たいへん有利だと思ったからだった。 間もなく一郎は、目的の繁みに出た。それは
灌木の欝蒼とした繁みで、足の踏み入れるところもないほどだった。彼は下枝を静かにか....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
床を透かして見たり外廓を取り繞ぐる鉄柵の内側に沿う三尺幅の植込みへ手を突込んで、
灌木の根元の土を掻き回す様に調べたりしていたが、間もなく複雑な気色を両の眼に浮べ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
凸凹のある岸の平地から後方鳥喰崎の丘にかけて、棘のような細かい雑草や、ひねくれた
灌木だの赤味を帯びた羊歯類の植物だのが、遠慮なく繁茂している。そしてその上方には....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
て傍らの松林へ這入って行ったんです。吉岡は段々眼が覚めて来ました。そして間もなく
灌木の間の闇の中へ助役と二人でどっかと腰を下ろした時には、彼等の前方十|間位の処....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
。急ぎましょう」 人々は無言でさまよいはじめた。このあたりから、茨や名も知らぬ
灌木が、雑草の中に混りはじめた。やがて大月氏が枯れかかった
灌木の蔭で、転っていた....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
的場と兵営のお濠との間には障害物があった。これは、二、三百メートルばかりの間に、
灌木の藪や、石垣や、濠や、独木橋や、木柵などをならべ立てたもので、それを兵隊が競....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
て雪を捲いて吹きつけるからセーターの中まで針を通すような寒さが襲ってくる。小さな
灌木の間を縫って行くと右手の遙か下の谷に新五色の温泉宿が平面的に見えて、その前に....
「火星探険」より 著者:海野十三
へ近づき、映像は大きくなって来た。 密林を作っている木は、どこか松に似た逞しい
灌木《かんぼく》であった。それが密生しているのだった。木の高さは十メートルぐらい....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
て物を螫したがっている時にでも、ラザルスは太陽のひかりを浴びたまま坐って動かず、
灌木のような異様な髯の生えている紫色の顔を仰向けて、熱湯のような日光の流れに身を....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
よう」 二 殆ど一面に美しい天鵞絨の様な芝草に覆われ、処々に背の低い
灌木の群を横えたその丘は、恰度木の枝に梟が止った様な形をして、海に面した断崖沿い....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
、絶壁直立すること、千尺にも余れり。これを下るかと思えば、心自ら悸きしが、熊笹や
灌木を攫みて、後向きになれば、下られざるにもあらず。半頃より左に近く羽衣の滝を見....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
果酒を売る。その頭髪は長幼をわかたず、みな黄白色なり。青草緑苔、石上に敷き、また
灌木の渓畔に横たわるあり、野花の岸頭に笑うありて、実に仙境の趣をなす。石径を攀ず....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
れを引っ込めるのを忘れたように見える。そこここに、低い、片羽のような、病気らしい
灌木が伸びようとして伸びずにいる。 二人の女は黙って並んで歩いている。まるきり....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
なる蟻の塔が此の無人の境に建設されてゆく。 峰頂を踏んで、躑躅や山吹、茨などの
灌木の間を縫うて行くことは、疲労を忘れしめるほどの愉快を感ずるものである。幾春秋....