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火事場
「火事場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火事場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ちつけた靴《くつ》で甲板《かんぱん》を歩き回る音とが入り乱れて、頭の上はさながら
火事場のような騒ぎだった。泣いて泣いて泣き尽くした子供のようなぼんやりした取りと....
「第五氷河期」より 著者:海野十三
車に、電池式の受信機と高声器をつんだ移動ラジオが、すこぶる活躍をして、避難民や、
火事場で活動している市民たちへ、ニュースを送った。 そのニュースの中に、市民た....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
みとれていることはできなかった。これこそ勿化の幸いと、僕は老人に挨拶もそこそこに
火事場の方へ道をとって走りだした。 「いいかネ。頼んだことを忘れるな」 「承知し....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
な白い胸や太股をまざまざと描き出して、土岐はふっと顔を赤らめた。 宿直室の外は
火事場の様な人通りであった。 「まあ、いやだ。そりゃいい女だって言うけど、腕も脚....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
子のまゝの下駄がけであった。重役の一人の繃帯が誰の目にも着くので直ぐ訊かれるが、
火事場の怪我で無いと聞くと誰も皆安心した顔をして、何の病気だと折返して訊くものも....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
がおどるじゃないか。さあ、いこう」 「出航用意だぞ、出航用意だぞ」 機関室は、
火事場のようないそがしさだった。全員は、本当に出航する顔つきになって、小さいエン....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、丸木の後を追いかけた。店をしめて、静かになったばかりの銀座は、とんだことから、
火事場のようなさわぎになった。
「あれっ、いないぞ。どこへ行ったんだろう!」
「....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
正太とは、それから自動車で、保土ヶ谷のトンネル附近へ、はこんでもらった。現場は、
火事場さわぎであった。消防自動車が高いビルの消火のときにつかう長い梯子をまっすぐ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
を照らせ」 艦内は号令を伝える声と、作業にかけまわる水兵たちの靴音やかけ声で、
火事場のような騒であった。 前檣からは、青白い探照灯がさっと波立つ海面を照らし....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
汐時が二つはずれて、朝六つから夜の四つ時まで、苦しみ通しの難産でのう。 村中は
火事場の騒ぎ、御本宅は寂として、御経の声やら、咳やら……」 十四 ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
」 「ああ、そうか。」 「おじさんの家の焼けた年、お産間近に、お母さんが、あの、
火事場へ飛出したもんですから、そのせいですって……私には痣が。」 睫毛がふるえ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
人間の浪の中に巻込まれてしまいました。 右左|透間のねえ混雑なんで、そいつあ皆
火事場の方へ寄せるんでしょう、私あ向うへ抜けようとするんでしょう。 突当るやら....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
がかかるようで、一番面白うございました、と向うのにごり屋へ来て高話をしますとね。
火事場にゃ見物が多いから気が咎めるかして、誰も更って喧嘩を買って出るものはなし、....
「妖怪学」より 著者:井上円了
を覚せざることあり。例えば、夢中に思案工夫して自ら覚せざるは、その第一種に属し、
火事場に自ら傷つきて苦痛を覚せざるは、その第二種に属し、歩行して自らその歩行する....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
ことあり。例えば、夢中に工夫思慮して自ら識覚せざるがごときは、その第一種に属し、
火事場に傷害を受けて自らその苦痛を覚せざるがごときは、その第二種に属し、歩行する....