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火煙
「火煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
五分で終了した。 火柱も閃光も、ともに消え去ったが、あちらこちらから、濛々たる
火煙が起った。重油やガソリンが燃えだしたのである。 中尉が、塹壕の中で起き上ろ....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
、反撃に支え切れず再び城に逃げ込んだ。 寄手はそこで石火矢を放ったから、城内は
火煙に包まれて、老弱の叫声は惨憺たるものである。 板倉重矩|緋縅の鎧に十文字の....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
めたる袖を体裁悪げに下してこそこそと人の後ろに隠るるもあり。天を仰げる鼻の孔より
火煙も噴くべき驕慢の怒りに意気|昂ぶりし為右衛門も、少しは慚じてや首をたれ掌を揉....
「雪の宿り」より 著者:神西清
も火の手が上ります。これは稍々艮方へ寄っておりますので、折からの東風に黒々とした
火煙は西へ西へと流れるばかり、幸い桃花坊のあたりは火の粉もかぶらずにおりますが、....
「狂言の神」より 著者:太宰治
はじめ、一、二行を書いているうちに、はや、かれの生涯の悪癖、含羞《がんしゅう》の
火煙が、浅間山のそれのように突如、天をも焦《こ》がさむ勢にて噴出し、ために、「な....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
たところのものだが、「|裂く羽目」だの救命帯だのをじっし――そのあいだも、一団の
火煙と化した機は螺旋をえがいて落下しつつある! としたらどうだ! などと、内心安....
「せいばい」より 著者:服部之総
てて火をつける。火勢によっては煙で絶命することがあり、いつまでも死なず、さかんな
火煙につつまれて、鉄輪を抱きながら苦しむのがあった。はじめの鉄柱にしばりつけるま....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
したのだが、お駒ちゃんが最後に見たものは、おしんとお美代にがっしとおさえられて、
火煙の中から柱のように首を伸ばしてもがいている磯五の顔であった。
....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
きふゆ》のない島だが、夏の季に入るなり、一帯の岩島が日輪に焙《あぶ》りつけられて
火煙《ひけむり》をあげるほどに熱し、岩層に手足をつけるとたちまち大|火傷《やけど....
「なりひら小僧」より 著者:山中貞雄
。侍共が出て来て大騒ぎである。 中の一人が驚いて床の間の文箱を抱えて走り去る。
火煙、猛々。 ○=門前 文箱持って走り出た侍。 続いて山左と左膳が後を追う。....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
の古世代までやって来ると……ドウダ……天地を覆す大噴火、大雷雨、大海嘯、大地震の
火煙、水けむり、土煙が、あとからあとから日月を蔽いながら渦巻きのぼっているこの世....
「三国志」より 著者:吉川英治
あろう」と、命じた。 「おことばですが」と、関羽は、その言をさえぎって、 「峠に
火煙をあげなば、せっかく、落ちのびて来た曹操も、道に敵あることを覚り、ほかへ方角....
「三国志」より 著者:吉川英治
の陣にも、木獣の備えがあったからである。この木製の大怪物は、脚に車を穿き、口から
火煙を噴き、異様な咆哮すら発して、前へ進み、横へまわり、縦横|無碍に馳け廻って、....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
『これでいいのだ……』 畔柳博士は、鷺太郎をかえり見て、そういった。その声は、
火煙のために嗄がれてはいたが……。....