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火熨斗
「火熨斗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火熨斗の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
ほどこ》されてあった。そうして薄くて丸い枠《わく》の中に入れてあった。左の端には
火熨斗《ひのし》ぐらいの大きさの鐘がやはり枠の中に釣るしてあった。そのほかには琴....
「明暗」より 著者:夏目漱石
が》れとも云わないで、膝《ひざ》の上に載《の》せた紅絹《もみ》の片《きれ》へ軽い
火熨斗《ひのし》を当てていた。すると次の間からほどき物を持って出て来たお金《きん....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
ったのでは無いらしい。どうやら底にまだ雨気がありそうで、悪く蒸す……生干の足袋に
火熨斗を当てて穿くようで、不気味に暑い中に冷りとする。 気候はとにかく、八畳の....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家ばかりである。時々は褌の洗濯もする。而してそれを楓の枝に曝らして置く。五分間で
火熨斗をした様に奇麗に乾く。
十分十五分ばかりして、甕を出る。濡手拭を頭にのせ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
たものもあったろう。 話を綜合すると、 今暁四時半、隣家の富田洋服店の三階の
火熨斗場から発火して、一間と離れない丸善の二階へ直ぐ燃付いて、瞬く中に仮営業所の....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
譫言のように言ったが、 「ようこそなあ――こんなものに……面も、からだも、山猿に
火熨斗を掛けた女だと言われたが、髪の毛ばかり皆が賞めた。もう要らん。小春さん。あ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
精々裁縫をするんですって。自分のものは、肌のものから、足袋まで、綺麗に片づけて、
火熨斗を掛けて、ちゃんと蔵って、それなり手を通さないでも、ものの十日も経つと、ま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の花と呼ばれたお雪ちゃんも」 「もとよりです、あの子の立ち姿から、坐ったところ、
火熨斗《ひのし》を持って梯子段ののぼり下り――浴槽の中だけは遠慮しまして、ちょっ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
で小僧さんと職人の三、四人がいた。暮になると人を増していた。いつも綿を入れたり、
火熨斗《ひのし》をかけている女房《おかみ》さんは、平面《ひらおもて》ではあったが....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
の上には、何時からか長いこと、桃色|甲斐絹の裏の付いた糸織の、古うい前掛に包んだ
火熨斗が吊してある。「あの前掛は大方十年も前に締めたのであろう!」と思いながら私....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た赤毛の小娘が、その痩《や》せ細った両腕を肩の近くまで裸にし、胸衣をくつろげて、
火熨斗《ひのし》をかけていた。彼女はいつものとおり厚かましい色目を使ってみせた。....