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火酒
「火酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
拠をつかむまでは執拗《しつよう》に葉子をしいたげるようになった。葉子は目もくらむ
火酒をあおりつけるようにそのしいたげを喜んで迎えた。
ある夜葉子は妹たちが就寝....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ほっと安心の声をあげて船長の手を握った。 「やあ、ドレゴ君だったね。アイスランド
火酒の味が忘れられないで、またやって来たよ」 「船長、二年間も忘れているなんて、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、沼蛙の声がするだけの寂漠たる天地。天幕のそばの焚火をはさんで、カムポスと折竹が
火酒をあおっている。生の細茅にやっと火が廻ったころ、折竹がいいだした。 「君は....
「安重根」より 著者:谷譲次
繰り出して行って、桟橋通りを埋めつくすのだ。そして、街全体は瞬く間に、唄と笑いと
火酒の暴動だ。ははははは、女たちの仕事は、実行の上で、僕らよりずっと国境を越えて....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
つまらん講義を始める。 「ところで、この酒を一杯|献じよう。これはこの地方で申す
火酒の一種であって、特別|醸造になるもの、すこぶる美味じゃ。飲むときは、銀製の深....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
た液体が、舌をぴりぴりとさした。そしてぷーんと、はげしい香が鼻をついた。 (あ、
火酒だ!) 酒びんの中から、ゴム管でつながっていたのだ。それをケレンコが、知っ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
。向い合せに坐っていた荒削りの食卓越しに、ごつごつした手を握り合せながら、彼等は
火酒の盃に酔って、お互いに聖降誕祭の祝辞を述べ合ったものだ。そして、彼等の一人、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
思いきり濃くなり、やけに意気っぽく帽子を曲げる。AHA! 夕陽に十字を切る
火酒のように澄み切った空気のなかを、うそ寒い日光が白くそそいで、しっとりと去年か....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
った。
外気に次いでその壜《びん》がすべてをよくなした。ジャン・ヴァルジャンは
火酒を一口のんで、すっかり元気になった。
彼は棺から出た。そしてフォーシュルヴ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
言いたい。ブラッセルでは最もよく麦酒《ビール》を飲み、ストックホルムでは最もよく
火酒《ウォッカ》を飲み、マドリッドでは最もよくチョコレートを、アムステルダムでは....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
かけによらないものだ」 そこでサカモリがはじまったが、ジンという酒はアブサンや
火酒につぐ強い酒だが、アッサリした甘味があって、女の好きそうな香気がある。舌ざわ....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
まいたいのです」と言うと、 婆さんが言うには、―― 「飲むんじゃないよ、これは
火酒なのさ。いつぞやわたしは、自分で自分の締めくくりがつかなくなって、飲んじまっ....
「妾宅」より 著者:永井荷風
クラブ》やカフェーの媛炉《だんろ》のほとりに葉巻をくゆらし、新時代の人々と舶来の
火酒《ウイスキー》を傾けつつ、恐れ多くも天下の御政事を云々《うんぬん》したとて何....
「国境」より 著者:黒島伝治
身肌につけて、上から服を着、何食わぬ顔で河岸からあがってきた。酒精に水をまぜて、
火酒として売りつけた。資本主義時代から、飲んだくれることが労働者的であるように思....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
すっかり忘れていたわ。」と君江は棚の上に載せたままにして置いた角壜《かくびん》の
火酒を取りおろして湯呑《ゆのみ》につぎ、「グラスがないからこれで我慢して下さい。....