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火食
「火食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火食の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ように点々と茅葺《かやぶ》き屋根を並べていた。どうかするとまたその屋根の上には、
火食《かしょく》の煙が幾すじもかすかに立ち昇っている様も見えた。彼は太い柏の枝へ....
「弟子」より 著者:中島敦
なかったが、この時は最も困窮に陥《おちい》った。糧道《りょうどう》が絶たれ、一同
火食せざること七日に及《およ》んだ。さすがに、餒《う》え、疲《つか》れ、病者も続....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
東洋にヒッポマネスの話ありやとの問いに応じ調べると、蒙古人大急用の節、十日も
火食せずに乗り続く。その間ただ乗馬の静脈を開き迸《ほとばし》り出づる血を口中に受....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
である。 方便な事には、杢若は切凧の一件で、山に実家を持って以来、いまだかつて
火食をしない。多くは果物を餌とする。松葉を噛めば、椎なんぞ葉までも頬張る。瓜の皮....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、ないとも見える。丸山勇仙の最初の印象は、たしかにこれこそ人間の通路、少なくとも
火食の息のかかった者が、この間を通った痕跡のある印象に打たれて、叫んでみたのだが....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と、これは白昼に草の根を分け探すよりも、むしろ夜間を選んだ方がいい、というのは、
火食を知って以来、人類の生活には火が附いて廻る。内部に向って食物を送るためにも、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のは、肉食をしない、すべての美食を断って単純な菜食に帰するのみではなく、すべての
火食を避けた、菜食にしても、火にかけたものは食べることをしないのが即ち木喰である....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
、豆類や野菜を洗って生の儘《まま》、重箱に入れて置いて、絶えずそれを食べて一切の
火食をしない、そこに本当の味があり健康があるという話を聞いたから、弥之助はその僧....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
るような威々しさを感ずるに過ぎなかった。総体として、※の聖音に陶酔し、方円半月の
火食供養三昧に耽る神秘行者らしい俤は、その何処にも見出されないのであった。所が、....
「三国志」より 著者:吉川英治
百里に、一つの国がある。烏戈国といって、国王は兀突骨という者です。五穀を食まず、
火食せず、猛獣|蛇魚を喰い、身には鱗が生えているとか聞きます。また、彼の手下には....
「三国志」より 著者:吉川英治
日を経るに従って、山上の軍馬は渇に苦しみ出した。炊ぐに水もない有様で兵糧すら生か
火食のほかなく、意地わるく待てど待てど雨もふらない。そのうちに、 「水を汲みにゆ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
る必要もなかったのであります。 山中ことに漂泊の生存が最も不可能に思われるのは
火食の一点であります。一旦その便益を解していた者が、これを抛棄したということはあ....