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「灯影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

灯影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
けて、ほのかに白く光っているばかり、大路小路の辻々《つじつじ》にも、今はようやく灯影《ほかげ》が絶えて、内裏《だいり》といい、すすき原といい、町家《まちや》とい....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
《こっち》よりも高い位の平地に、忘れたように間をおいてともされた市街地のかすかな灯影《ほかげ》は、人気《ひとけ》のない所よりもかえって自然を淋しく見せた。彼れは....
星座」より 著者:有島武郎
るに堪えず。彼はたして那辺《なへん》より来れる。思うに村人ことごとく眠り去って、灯影の漏るるところたまたま我が小屋あるのみ。彼行くに所なくして、あえてこの無一物....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
惚《ねぼ》れたる女の声なり。白糸は出刃を隠して、きっとそなたを見遣《みや》りぬ。灯影《ひかげ》は縁を照らして、跫音《あしおと》は近づけり。白糸はひたと雨戸に身を....
婦系図」より 著者:泉鏡花
る……また明くなる。 目も放さず、早瀬がそれを凝と視める内に、濁ったようなその灯影が、二三度ゆらゆらと動いて、やがて礫した波が、水の面に月輪を纏めた風情に、白....
春昼」より 著者:泉鏡花
祭礼は谷間の里からかけて、此処がそのとまりらしい。見た処で、薄くなって段々に下へ灯影が濃くなって次第に賑かになっています。 やはり同一ような平な土で、客人のご....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
中に、どうしたか失せて見えなくなった。ただ、内へ帰るのを待兼ねて、大通りの露店の灯影に、歩行きながら、ちらちらと見た、絵と、かながきの処は、――ここで小母さんの....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
蝶が、境内を切って、ひらひらと、石段口の常夜燈にひたりと附くと、羽に点れたように灯影が映る時、八十年にも近かろう、皺びた翁の、彫刻また絵画の面より、頬のやや円い....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
―茶店でもない様子――(見廻す。) 片山家の暮れ行く風情、茅屋の低き納戸の障子に灯影映る。 学円 この上、晩飯の御難題は言出しませんが、いかんとも腹が空いた。 ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ために洋燈を廃して行燈にかえたる影暗く、隙間もる風もあらざるにぞ、そよとも動かぬ灯影にすかして、その寂たること死せるがごとき、病者の面をそと視めて、お貞は顔を背....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
より漏れて、青き一条の光、畳の上に映したるなり。うっとりせしが心着きぬ。此方には灯影あかく、うつくしき小親の顔むかいあいて、額近きわが目の前に、太く物おもう色な....
」より 著者:秋田滋
用心に用心をして歩いてゆくと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを歩いて行き、彼は眼を覆....
雪柳」より 著者:泉鏡花
いる、ゆかしい、あわれな、寂しい姿が、何となく、なつかしく目に映る。何も、燈心の灯影は、夜と限ったわけではありません、しょぼしょぼ雨の柳の路地の窓際でもよし、夕....
活人形」より 著者:泉鏡花
偲ばるるが一い二ウ三いと数うるに勝えず。遥か彼方に戸を閉じたる一室ありて、燈火の灯影幽かに見ゆるにぞ、要こそあれと近附きて、ひたと耳をあてて聞くに、人のあるべき....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
六時抜錨。湾内の夜景、実に吟心を動かす。 遼湾風浪晩来恬、涼月印夜港頭却多趣、万灯影裏一峰尖。 (遼湾の風浪は夕方になっておだやかとなり、すずしげな月が天空にあ....