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灰皿
「灰皿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灰皿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
《ながなが》と腹這《はらば》いになっている。が、その声が聞えないのか、男は手近の
灰皿へ、巻煙草《まきたばこ》の灰を落したきり、新聞から眼さえ挙げようとしない。
....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
昂然《こうぜん》と粟野さんの机の側へ行った。粟野さんは今日《きょう》も煙草の缶、
灰皿、出席簿、万年糊《まんねんのり》などの整然と並んだ机の前に、パイプの煙を靡《....
「影」より 著者:芥川竜之介
もなく、戸の向うの部屋へ帰って行った。
戸が今西の後にしまった後《のち》、陳は
灰皿に葉巻を捨てて、机の上の封書を取上げた。それは白い西洋封筒に、タイプライタア....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
でもあって、たまるものか。」
山川技師もにやにやしながら、長くなった葉巻の灰を
灰皿の中へはたき落した。
「しかも更に面白い事は――」
少佐は妙に真面目《まじ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
」
俊助はようやく鋒芒《ほうぼう》をおさめながら、短くなった金口《きんぐち》を
灰皿の中へ抛《ほう》りこんで、やや皮肉にこう尋ねた。
六
「....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
供じみた負けぬ気も、幾分かは働いたのであろう。本間さんは短くなったM・C・Cを、
灰皿の中へ抛《ほう》りこみながら、頸《くび》をまっすぐにのばして、はっきりとこう....
「生きている腸」より 著者:海野十三
を山のように高くした。そしてチコに食欲ができると、彼の生き物はひとりでのろのろと
灰皿のところへ匍ってゆき、ぴちゃぴちゃと音をさせて砂糖水をのむのであった。その有....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
んのことだか分らないので、問いかえした。 「つまり物体をだね、たとえばここに鉄の
灰皿がある。これを電気的方法によって遠方へおくったり、また遠方にあるアルミニュー....
「聖書」より 著者:生田春月
いと思って、僕もすっかり照れて、ふと手の葉巻を見ると火が消えていた。急いでそれを
灰皿につっこんで、僕はまた例の聖書を手に取った、真黒な足袋の裏をあわてて下におろ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
える言葉を持っていなかった。それで現場検分を申出でた。検事は点けたばかりの煙草を
灰皿の中へ捨てながら、「儂は君が検分するときの顔を見たいと思っていたよ」と喚いた....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
とでもいうか、とにかく妙なことになった。 それから第三に、卓子の上に置いてある
灰皿だの百科辞典などが、ひとりでにするすると卓子の上を走り出すことだった。 そ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
。と、いまの身なりも、損料か、借着らしい。 「さ、お待遠様。」 「難有い。」 「
灰皿――灰落しらしいわね。……廊下に台のものッて寸法にいかないし、遣手部屋という....
「橋」より 著者:池谷信三郎
はつんとして、ナプキンの紙で拵えた人形に燐寸の火をつけていた。人形は燃えながら、
灰皿の中に崩れ落ちて行った。燐寸の箱が粉々に卓子の上に散らかっていた。 ――遅か....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
懸を半ば絞った玄関|傍の応接所から、金々として綺羅びやかな飾附の、呼鈴、巻莨入、
灰皿、額縁などが洩れて見える――あたかもその前にわざと鄙めいた誂で。 日車は莟....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
肉入、驕った印章入、宝玉の手奩にも、また巻煙草入にも、使う人の勝手で異議はない。
灰皿にも用いよう。が希くば、竜涎、蘆薈、留奇の名香。緑玉、真珠、紅玉を装らせたい....