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炭焼
「炭焼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
炭焼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
ロードをたたんだような山の肌《はだ》がいかにも優しい感じを起させる。その上に白い
炭焼の煙が低く山腹をはっていたのはさらに私をゆかしい思いにふけらせた。
石をは....
「闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
ぽ》のように細くなって下流の闇のなかへ消えてゆくのである。溪の岸には杉林のなかに
炭焼小屋があって、白い煙が切り立った山の闇を匍《は》い登っていた。その煙は時とし....
「虫の生命」より 著者:海若藍平
炭焼きの勘太郎は妻も子も無い独身者《ひとりもの》で、毎日毎日奥山で
炭焼|竈《がま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
痘痕は一目見て気の毒な程で、しかも黒い。字義をもって論ずると月下氷人でない、竈下
炭焼であるが、身躾よく、カラアが白く、磨込んだ顔がてらてらと光る。地の透く髪を一....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
尾添から美女坂道を登ることにした。ところが地図には堂々と道があるが、行ってみると
炭焼の道が途中まであるきりで、トテモ通れない。その中を私は一生懸命に歩き廻ったが....
「春昼」より 著者:泉鏡花
くなります。処々、山の尾が樹の根のように集って、広々とした青田を抱えた処もあり、
炭焼小屋を包んだ処もございます。 其処で、この山伝いの路は、崕の上を高い堤防を....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
こうに登ると路に出た。板谷に行く急なところを図に乗って下りた。小林らは静かに登る
炭焼き小屋の煙をめがけて下りて行った。坊城と板倉は途中で景色を見ている。前の谷を....
「超人間X号」より 著者:海野十三
いなかった。 学者という者は、こんなにごうまんなものであって、農夫《のうふ》や
炭焼《すみや》きなどを相手にしないものだと、昔からのいいつたえで、そう思っていた....
「怪塔王」より 著者:海野十三
彦の目にうつったものがありました。 それは炭やき爺さんの、そこにつくってあった
炭焼竈でありました。 「うん、これはいいものが目にとまった」 と一彦少年はおも....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ちも落ちた、奥州青森の裏借屋に、五もくの師匠をしていて、二十も年下の、炭屋だか、
炭焼だかの息子と出来て、東京へ舞戻り、本所の隅っ子に長屋で居食いをするうちに、こ....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
うにおもわれる。ここでは野馬がこどものじぶんみたとおり草原をはしりまわっている。
炭焼までが、ぼくたちがむかし、そのふしにあわせておどったとおりの歌をいまでもうた....
「光は影を」より 著者:岸田国士
積つた雪が、山頂からこの山裾にかけて、草原という草原一帯を覆つていた。わずかに、
炭焼小屋へ通じる小径が、松林をぬけて、谷へ降つて行く、その踏みかためられた雪の一....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
れを見たので、娘の父が憤って、熊猟に用いる槍で突殺したともいう。その死骸は何れも
炭焼|竈に入れて灰にしてしまうのが例とやら。 「それで拙者に毒蛇を投げつけたのか....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
清水から一坂上り口に、薪、漬もの桶、石臼なんどを投遣りにした物置の破納屋が、
炭焼小屋に見えるまで、あたりは静に、人の往来はまるでない。 月の夜はこの納屋の....
「影」より 著者:岡本綺堂
石橋山の古戦場に近き杉山の一部。うしろに小高き山を負いて、その裾の低地に藁葺きの
炭焼小屋。家内は土間にて、まん中に炉を切り、切株又は石などの腰かけ三脚ほどあり。....