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点出し
「点出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
点出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
れがあった。そこで彼女は善悪の標準を度外に置いて、ただ夫人の名前だけを二人の間に
点出して見た。そうしてその影響次第で後《あと》の段取をきめようと覚悟した。
彼....
「読書法」より 著者:戸坂潤
を、相当ハッキリと体現して、現代のファッショ化したブルジョア哲学の漫画的一風景を
点出した点にあるのである。 「独仏」ではこの頃色々の意味でのアントロポロギーが流....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
ンの「グリース家の惨劇」、次から次へと糸をたぐるように無限に思われるほどの人物を
点出して、なお彼方に犯人をかくすのもいい――ルブランの「虎の牙」、兎に角、要は読....
「或る精神異常者」より 著者:田中早苗
れた。そのポスターの図案は、くっきりと濃い海碧色を背景にして、一人の自転車乗りを
点出したものであったが、まず一本の軌道が下へ向かってうねうねと幾重にも曲りくねっ....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
の屋上や隅田河畔のプロムナードや一銭蒸汽の甲板やそうした背景の前に数人の浅草娘を
点出して淡くはかない夢のような情調をただよわせようという企図だとすれば、ある程度....
「不満と希望」より 著者:宮本百合子
んがある小説の中で丸ビルの附近の朝の景色を美しく描写して、女の事務員の姿をそこに
点出しておられましたが、そういう描写が、こういう作家にあっては非常に絵画的効果に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は移った。…… ところで、天保銭吉原の飛行より、時代はずっと新しい。――ここへ
点出しようというのは、件の中坂下から、飯田町|通を、三崎町の原へ大斜めに行く場所....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とする一つの漁師の影さえ見えません。 ところどころに、竜安石を置いたような岩が
点出しているだけで、平沙渺漠《へいさびょうばく》人煙を絶するような中を、清澄の茂....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
。この歌は大勢の若い女の心持が全体を領しているのであるが、そこに一人の美しい男を
点出して、その男を中心として大勢の女の体も心も運動|循環する趣である。一首の形式....
「小春」より 著者:国木田独歩
は白銀のごとくひかり、その間から武蔵野にはあまり多くない櫨の野生がその真紅の葉を
点出している。 『こんな錯雑した色は困るだろうねエ』と自分は小さな坂を上りながら....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
に輝らし出さるる、薄紫にまがうまでの白色、その白色の花弁の中に、花粉の黄を小さく
点出した色彩は、気品そのものの色彩である。それに眸を凝らす時、人は自ら心すがすが....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ついて話した。そうして、アリストテレスやプラトンの説をよく消化して、問題のうちに
点出した。彼は輪廻を学び、ピタゴラス(紀元前のギリシャの哲学者)の説を信ずるもの....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
霜を身の終り 星布 秋蝶や漆黒うすれ檜葉にとぶ みさ子 花讃の句は蝶を
点出して広野の長閑さを主観的によみ、かな女のは大正初期の句で之も芋のせい籠にくる....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
山川の景色らしく、句風もまことに美しい。 逢坂の句の方は、ゆくてに満開の山桜を
点出しその梢のあたりに車道が見えているというので、しいて車を見せなくともよいが、....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
王妃は先代の秀調、伯寧は八百蔵で、作者は朝鮮側の面目を立てるために忠勇なる伯寧を
点出して、それを当時売出しの八百蔵に勤めさせたのであった。 おおわらわの伯寧が....