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「烏有〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

烏有の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の盗賊」より 著者:太宰治
精神的なものである。私は、宗教をさえ考える。宿業に依って炎上し、神の意志に依って烏有《うゆう》に帰する。人意にて、左右することの、かなわぬものである。そうして、....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
もので、しかもよほどまでは真理に近いものであるが、自然科学的批判の下にはいわゆる烏有に帰してしまうのである。我々がカントの宇宙開闢論の著述を賛美するのは物理学的....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
ンポンと手を拍った。 と其刹那高楼の四方から焔々たる大火燃え上ったが、忽ち館は烏有に帰した。 「異譚深山桜」には、其時の事を次のように、哀れ深く書いてある。 ....
運命」より 著者:幸田露伴
才を馳せ、妄人は妄を恣にして、空中に楼閣を築き、夢裏に悲喜を画き、意設筆綴して、烏有の談を為る。或は微しく本づくところあり、或は全く拠るところ無し。小説といい、....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
こに語るまでもないが、人口三百万を擁した東京市は、僅かに山の手の一部を残して他は烏有に帰し、交通機関はことごとく破壊停止し、多くの避難民は住むに家なく食うに食な....
雪の宿り」より 著者:神西清
せん。わたくしがそのように念じ抜きました桃華文庫も、まったく思いもかけぬ事故から烏有に帰したのでございます。…… 貞阿はほっと口をつぐんだ。流石に疲れが出たの....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
仁の大乱が始まって以来、七年を経た時であり、京都の町々は兵火にかかり、その大半は烏有に帰し、残った家々も大破し、没落し、旅舎というようなものもなく、有ってもみす....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ギではありませんか。祖国の力が尽きはてるほどの大戦争に敗北し、生活の地盤の大半が烏有に帰し、その荒涼たる焼野原へ不足だらけの資材をかき集めて建てたバラック都市で....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
私の十四歳の暮、すなわち慶応元年丑年の十二月十四日の夜の四ツ時(午後十時)浅草三軒町から出火して浅草一円を烏有に帰してしまいました。浅草始まっての大火で雷門もこの時に焼けてしまったのです....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
六年政府の方針より増上寺に神仏を共に祀った時、神仏|混淆を忌む神官が放火したので烏有に帰し、その後再建したが、これも明治三十年、乞食の焚火によって炎上した。 ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
言ふに其間に昨年の大震大災あり、我が寓亦その禍を免る能はず、為に材料一切を挙げて烏有に帰せしめたる事実あればなり。当夜我僅に携へ得たる所の鞄一個あり。本書の未だ....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
辛うじて拾い出された椿岳蒐集の記念の片影であった。 が、椿岳の最も勝れた蒐集が烏有に帰したといっても遺作はマダ散在している。椿岳の傑作の多くは下町に所蔵されて....
法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
であった。しかしながら法隆寺が天智天皇の九年に一屋無余の大火災の為に、ことごとく烏有に帰したとの日本紀の記事は絶対に疑うべからざるものであって、これを否定せんと....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
却って「有罪」と宣告せられる。 そう云う風に世は離れ離れになって、 当然の事は烏有に帰してしまいます。 民を正道に導くただ一つの誠が どうしてここに発展して参....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
十九)『徹書記物語』を書き、永享四年(五十二)には火災にあって、歌稿二万七千首を烏有に帰した。その後また歌稿を整理し、家集『草根集』は約一万一千首を含む大冊であ....