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烏羽玉の
「烏羽玉の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
烏羽玉のの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
中にいるような気がする」 で、じっと隙かして見たが灯火のない宝蔵の内はいわゆる
烏羽玉の闇であって、物の文色も解らない。信玄は背後を振り返って見た。規定の人数に....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
のにばかり結う。 何と絵蝋燭を燃したのを、簪で、その髷の真中へすくりと立てて、
烏羽玉の黒髪に、ひらひらと篝火のひらめくなりで、右にもなれば左にもなる、寝返りも....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
えず、バチンと蓮の果の飛ぶ音が響いた。お珊は帯留の黄金金具、緑の照々と輝く玉を、
烏羽玉の夜の帯から星を手に取るよ、と自魚の指に外ずして、見得もなく、友染を柔な膝....
「水の女」より 著者:折口信夫
第一章に言うたようなことが、この語についても、遠い後代まで行われたらしい。「
烏羽玉のわが黒髪は白川の、みつはくむの水を汲む為事が、はっきり詠まれていたであろ....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
家の一つの表戸へ三人ながら身を寄せた。月光を軒が遮るのか、三人の潜んだその辺は、
烏羽玉の闇に閉ざされている。 その時、往来の遙かあなたから、一団の人影が現われ....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
。それはもうお蔦でもなければ、里好でもない。二人はただ、うばたまの闇黒にうごめく
烏羽玉の果《み》の一つ二つだ。 木の下道のような暗い細いところを、あれで二、三....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、西班牙が好な男だから、瓜のうつろへ、一つには蛍を、頸の銅に色を凝らして、烏金の
烏羽玉の羽を開き、黄金と青金で光の影をぼかした。一つには、銀象嵌の吉丁虫を、と言....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
て、白き手をつき、肩のあたり、衣紋のあたり、乳のあたり、衝立の蔭に、つと立ちて、
烏羽玉の髪のひまに、微笑みむかえし摩耶が顔。筧の音して、叢に、虫鳴く一ツ聞えしが....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
と声を嗄らしているのは旅川周馬、指さして立っているのがお十夜孫兵衛、櫓を撓わせて
烏羽玉の闇を切っている者は天堂一角。時々サッとその影を白くかするのは波|飛沫だ。....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
忠相は、素直に、宿命の職に坐ったのである。 大江戸の深夜は、江戸人がよくいう“
烏羽玉の闇”そのままの――巨大な暗さである。 ただ大通りの要所要所に、自身番の....