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烟突
「烟突〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
烟突の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
》最初に言《ものい》うとて熟兎《ラビット》と高く呼べばその月中幸運を享《う》く、
烟突《えんとつ》の下から呼び上ぐれば効験最も著しく好《よ》き贈品随って来るとか(....
「まざあ・ぐうす」より 著者:北原白秋
もんさぶろう》、文三郎をさらおうと どろぼうどもがやってきた。 にげた、にげた、
烟突《えんとつ》の素頂辺《すてっぺん》へ攀《よ》じてった。 しめた、しめたとどろ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
忘れていた。風変りな建築物といったが、それはよく町中でみる鉄筋コンクリートの太い
烟突を想像して貰えばいいと思うが、それと殆んど同じような感じのする高塔が、庭園の....
「マードック先生の『日本歴史』」より 著者:夏目漱石
破壊しつつ、斃《たお》れるまで前進するのである。しかもわれらが斃れる時、われらの
烟突《えんとつ》が西洋の
烟突の如く盛んな烟《けむ》りを吐《は》き、われらの汽車が....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
霧があるのみだ、宇宙におよそ蕭殺の声といったら、高原の秋の風でもなければ、工場の
烟突の悲鳴でもない、高山の霧の声である。 その中に倉橋君が来る、晃平を殿として....
「露肆」より 著者:泉鏡花
店さえ八九ヶ所。続いて多い、古道具屋は、あり来りで。近頃古靴を売る事は……長靴は
烟突のごとく、すぽんと突立ち、半靴は叱られた体に畏って、ごちゃごちゃと浮世の波に....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
僕と、老博士は、囁き合った。だが、難破船にしては、船体がガッチリしている。太い
烟突から、黒煙を吐いてはいないが、まさか、面白半分に海洋を流されているのでもある....
「街の探偵」より 著者:海野十三
ルほどの厚い壁でぐるりととりまいてあった。その内側にぴったり寄り添って空気抜けの
烟突がついていたが、この高さは、周囲の壁よりもずっと低く、五十センチぐらいしかな....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
る。このあたりこそ気勢もせぬが、広場一ツ越して川端へ出れば、船の行交い、人通り、
烟突の煙、木場の景色、遠くは永代、新大橋、隅田川の模様なども、同一時刻の同一頃が....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
これは堤防の上を歩みながら見る右側の眺望であるが、左側を見れば遠く小工場の建物と
烟突のちらばらに立っている間々を、省線の列車が走り、松林と人家とは後方の空を限る....
「放水路」より 著者:永井荷風
ているばかりであったが、その後散歩するごとに、貸家らしい人家が建てられ、風呂屋の
烟突が立ち、橋だもとにはテント張りの休茶屋《やすみぢゃや》が出来、堤防の傾斜面に....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
町立病院の庭の内、牛蒡、蕁草、野麻などの簇り茂ってる辺に、小やかなる別室の一|棟がある。屋根のブリキ板は錆びて、
烟突は半破れ、玄関の階段は紛堊が剥がれて、朽ちて、雑草さえのびのびと。正面は本院....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
屋《ろうおく》が秩序もなく、端《はて》しもなく、ごたごたに建て込んだ間から湯屋の
烟突《えんとつ》が屹立《きつりつ》して、その頂きに七八日《ななようか》頃の夕月が....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
中のことを知らない人間だから、何を見ても分らんで仕様がありません。芝居の櫓を見て
烟突と間違えるような人で。 伊兵衞「若旦那どちらへいらっしゃる」 伊「便所へ往く....
「それから」より 著者:夏目漱石
精神の困憊《こんぱい》を感じていなかった。坂を上って伝通院の横へ出ると、細く高い
烟突《えんとつ》が、寺と寺の間から、汚ない烟《けむ》を、雲の多い空に吐いていた。....