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焔色
「焔色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焔色の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古き小画」より 著者:宮本百合子
す。ほら」 商人はうまく光線を受けて、虫の卵ほどの宝石をきらりと、燐光のような
焔色に閃かせた。そのまま一寸光の受け工合を更えると、玉は、六月の野のように、燃る....
「高台寺」より 著者:宮本百合子
重々しく動かしていた。葭簀を洩れた日光が余り深くない水にさす。異様に白く、或は金
焔色に鱗片が燦《きら》めき、厚手に装飾的な感じがひろ子に支那の瑪瑙《めのう》や玉....
「未開な風景」より 著者:宮本百合子
甘美に思った。 するのは瓦斯の焔が噴《ふ》き出す音ばかりだ。ピラピラする透明な
焔色を見守り、みのえは変に夢中な気持になって湯の沸くのを待った。彼女には、この夜....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ところにあった。灼熱した硫黄が、燃え立つラバとなってそこから流れ出している。その
焔色の周囲に、冷却した部分が、世にも鮮やかな黄色の鐘乳石のように凝固している。限....
「南路」より 著者:宮本百合子
窓から凝っと自然を眺め、ライラック色の砂地、濃紫と鋭い金色の山巓、微に消える
焔色の空を見詰めたら、人は我身を忘れるだろう。 周囲の沈黙が余り深く広いため、....
「ソヴェトの芝居」より 著者:宮本百合子
ことを理解しなければならぬ。 パッと照明がかわると、滝は忽ち燃ゆる焔の輝きだ。
焔色の装をした男がそこいら中をとびまわる。 「石油だ! 石油だ!」見物席で謎をと....
「ようか月の晩」より 著者:宮本百合子
で天降った太陽そのままに燃え輝きました。胸といわず裾といわず、歓びを告げる平和な
焔色にきらめき渡る頂に、澄んだ彼女の碧い二つの瞳ばかりが、気高い天の守りのように....
「対話」より 著者:宮本百合子
のこの髪と衣はどんな色でも光りでもそのまま映して同じ色に輝きます。火に入れば熱い
焔色、燻《くすぶ》りむせる煙に巻かれれば見わけのつかない煤色になって、恐れて逃る....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いいのね。オパールという宝石は、ダイヤモンドよりやすいものですが、光線の工合で、
焔色を射出し、溶けるような緑青色を放ち、こまかい乳色と銀と紫のまだらを示し、夕や....
「魔都」より 著者:久生十蘭
こへ来たものと見え、手入れのあった時間からまだ三十分も経っていない。前回の通り、
焔色の夜会服《ソワレ》を着て、見るもいぶせきこの木賃宿の一室へ、さながらニジンス....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
を兼ぬ粗布製の手提《てさげ》金庫。亡者を地獄へ送り込む火の車のように、めざましい
焔色《ほのおいろ》に塗り立てたモンテ・カルロ行きの乗合自動車は、橄欖《かんらん》....