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「焚く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焚くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
の綿入を縫っていた母は針を置いて迎えに立っていった。清逸は膝の上に新井白石の「折焚く柴の記」を載せて読んでいた。年老いた父が今|麦稈《むぎわら》帽子を釘《くぎ》....
婦系図」より 著者:泉鏡花
っ広い、薄暗い台所の板敷を抜けて、土間へ出て、庇間を一跨ぎ、据風呂をこの空地から焚くので、雨の降る日は難儀そうな。 そこに踞んでいた、例のつんつるてん鞠子の婢....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
りの旅館一二軒を、わざと避けて、軒に山駕籠と干菜を釣るし、土間の竈で、割木の火を焚く、侘しそうな旅籠屋を烏のように覗き込み、黒き外套で、御免と、入ると、頬冠りを....
海異記」より 著者:泉鏡花
たき、 「石々合わせて、塩|汲んで、玩弄のバケツでお芋煮て、かじめをちょろちょろ焚くわいのだ。……よう姉さん、」 奴は急にぬいと立ち、はだかった胸を手で仕切っ....
星あかり」より 著者:泉鏡花
日の晩宵の口に、その松のうらおもてに、ちらちら灯が見えたのを、海浜の別荘で花火を焚くのだといい、否、狐火だともいった。その時は濡れたような真黒な暗夜だったから、....
春昼」より 著者:泉鏡花
あたかも大なる蟇の、明け行く海から掻窘んで、谷間に潜む風情である。 されば瓦を焚く竈の、屋の棟よりも高いのがあり、主の知れぬ宮もあり、無縁になった墓地もあり、....
天守物語」より 著者:泉鏡花
て笑う、ほほほほほ。 夫人 それ、御覧、ついでにその火で、焼けそうな処を二三|処焚くが可い、お亀様の路の松明にしようから。 舞台暗し。 亀姫 お心づくしお嬉しや....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
まし。 学円 婦人ばかりじゃ、ともこうも言われぬか。鉢の木ではないのじゃが、蚊に焚く柴もあるものを、……常世の宿なら、こう情なくは扱うまい。……雪の降らぬがせめ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
かわりなく、親類一門、それぞれ知己の新仏へ志のやりとりをするから、十三日、迎火を焚く夜からは、寺々の卵塔は申すまでもない、野に山に、標石、奥津城のある処、昔を今....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
して、かの峰の松のある処、日暮の丘の上にぞ到れる。 松には注連縄張りたり。香を焚く箱置きて、地の上に円き筵敷きつ。傍に堂のふりたるあり。廻廊の右左稲かけて低く....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ね。」 「発くとの、それ親に知れるか、亭主に知れるか、近所へ聞える。何でも花火を焚くようなもので、その途端に光輝天に燦爛するじゃ。すでにこないだも東の紙屋の若い....
故郷」より 著者:井上紅梅
対ずつ、天秤一本。またここに溜っている藁灰も要るのだが、(わたしどもの村では飯を焚く時藁を燃料とするので、その灰は砂地の肥料に持って来いだ)わたしどもの出発|前....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
であった。団扇使いは御寝の妨げと差控え、その代り名香をふんだんに、蚊遣り火の如く焚くのは怠らなかった。それも併し、時の過ぎるに従って、昼間のつかれに二人とも、居....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
うものを、骨瓶の酒は何だろう、まだちっとも通らないが、ああ、旨い。」 「少し強く焚くと、灰が立って入るもの。」 「婦だなあ、お悦さんも。この場合に、灰が飛込むな....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
ので、丁度少し傾斜した大|摺鉢の中点にあるようだから、風は当らない、その上絶えず焚く焔で、石の天椽は暖まる、南方に大残雪を控えているにもかかわらず、至極暖かだ。....