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無一文
「無一文〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無一文の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
う一度自分自身の心持ちを考えてみたい。僕が即今あらん限りの物を抛《なげう》って、
無一文の無産者たる境遇に身を置いたとしても、なお僕には非常に有利な環境のもとに永....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
かった。何点すってしまうか、あとのイーチャンで取り戻せるかどうか、もし負ければ、
無一文の自分には賭金が払えないが、どうすればいいだろうか――など、そんなことは、....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
麗に払い出されると、間もなく細君の寿命も、天国に回収されてしまった。彼はまったく
無一文になったのだった。 (四十九回の注射をやらなければ、この身がだんだん腐って....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
出せると思うが、十五万、二十万では仲々たいへん、いろいろな無理な工作を要し、且つ
無一文となるから、そんなに出して買いたくなし。都合によれば、はなれをのこして本屋....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
ざるわい」 「…………」 相手はあっけにとられていた。 「したが、それがし目下
無一文にて、回向料の用意もしておらぬ故、今ここで死ぬというわけには参りませぬて。....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
愚図愚図している間に、金はなくなる。風をひいて、おまけに売薬のために腹をこわす。
無一文のまま、一週間ばかり断食して、寝て暮した。 ようやく起きれるようになって....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
駅の方へ歩きながら、仏が、ふと思い出したようにいった。 「ねえ、アン。おれは懐中
無一文なんだがねえ、リバプールの英蘭銀行支店で、預金帳から金を引出していく暇はな....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
「さあ、落着いて落着いて」と見知らぬ声が云った。 「まあ無理はないよ、お互いに
無一文何にもなしになったんだからネ。しかしお前さん方もまだまだ若いんだ。もっと気....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
ネタが残っていたが、それも先日使い果してしまったので今はもうネタについては全くの
無一文の状態にあった。しかるにこの暁方までに、なにがなんでも一篇の探偵小説を書き....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
、汽車の食堂での飲み食いが精いっぱいでしたので、汽車を降りて、煙草を買うと、もう
無一文。しかし、かえってサバサバした気持で大阪駅から中之島公園まで歩きました。公....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
売れるだろうかと、ただもうそればかり頭をひねった。薬の原価代を払ったあと、殆んど
無一文の状態で、今日つくった丸薬を今日売らねば、食うに困るというありさまだった。....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
者の腰の印籠を盗みおった。勿論油断して岩を枕に午睡したのがこちらの不覚。併し懐中
無一文の武者修業、行先々の道場荒し。いずれ貧乏と見縊って、腰の印籠に眼を付けたの....
「俗臭」より 著者:織田作之助
往時を回想しているとはいえ、政江と同じ六百円から十万円貯めるまでの径路ではなく、
無一文から六百円作るまでの、いってみれば、政江と結婚する迄のことを回想していたの....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
様にさし上げて、日本を去って頂いたのだそうでございます。所がお酒と女とで間もなく
無一文とおなりになって、文夫様がお生れになった翌年、突然帰っていらして強請始めな....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
だ。めざすは満州だが、あり金をはたいてやっと手に入れたのは仁川までの切符。あとは
無一文だが、どうにかなるという気持だった。焦げるように暑い夏の最中だった。龍田川....