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無常の風
「無常の風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無常の風の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
の栖に非ず、草葉に置く白露、水に宿る月より猶怪し、金谷に花を詠じし栄華は先立て、
無常の風に誘はるゝ、南楼の月を弄ぶ輩も月に先立て有為の雲に隠れり。人間五十年|化....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
左衛門――指を折って見ると、そういう人たちはもはや幾人も残っていない。追い追いの
無常の風に吹き立てられて、早く美濃へ逃げ帰りたいと思うところへ、横浜の方へは浪士....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
までもなく、曠野にさ迷うその旅人こそは、私どもお互いのことです。一疋の狂象は、「
無常の風」です。流れる時間です。井戸とは生死の深淵です。生死の岸頭です。井戸の底....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
て、家をもぬけに致し、くだんの山峡《やまかい》に逃げこんでおりましたです、戦さは
無常の風じゃと申しとります、生臭さ坊主の親鸞《しんらん》めが、おどろくべし、津々....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
聞け。 「竹片で水をタタクと泡が出る。その泡が水の表面をフワリフワリと回転して、
無常の風に会って又もとの水と空気にフッと立ち帰るまでのお慰みが所謂人生という奴だ....
「夜の靴」より 著者:横光利一
は幸福の海の上に浮いている舟のようで、腹だけ水につけ、頭を水から上げているから、
無常の風に面を打たれて漂うのかもしれないと思った。 十月――日 別家の久左衛....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のも御尤《ごもっと》もでございます、皆様がお驚きなさるより先に、私が驚きました、
無常の風は朝《あした》にも吹き夕《ゆうべ》にも吹くとは申しながら、なんとこれはあ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
ほど、はっきりしたひびきをもって、無明の時を刻み始めたのだ。 合唱(ごく低く)
無常の風に 春の陽の 常世の緑 吹き消えて 今ははや いずこの方か…… 常世の緑....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
、生者必滅、会者定離。たとえ表向き夫婦となって、共白髪まで添い遂げようとしても、
無常の風に誘わるれば、たちまちあの世と此の世の距て。訣れとなるのは遅い早いの違い....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
も一方では御座いませんでした、最早妾の婚礼も日がない、この一七日|前に、妾は遂に
無常の風に誘れて果敢なくなりました身で御座います、斯様な次第|故、両親の悲歎は申....