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無形
「無形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
宇子《でうす》のいわく、DS《でうす》 は「すひりつあるすすたんしや」とて、無色
無形の実体にて、間《かん》に髪《はつ》を入れず、天地いつくにも充満して在《まし》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
したら、貴下私の身体はどうなると思って? ですから妙子さんさえ下されば、有形にも
無形にも立派な言訳になるんだわ。ひょっとすると、母様の方でも、妙子さんの為にする....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
川 布助 痺れる脳髄! もし此処で卒倒したらば、それで万事休すだ! 弦吾は
無形の敵と闘った。血を油に代えて火を点じ、肉を千切って砲弾の代りに撃った。何とか....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
と無智、真理と虚説、高貴と卑賤とのあいだの犯すべからざる境界線は消え失せて、ただ
無形の思想が空間にただよっているばかりとなってしまった。そこで、その賢人は白髪の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
一筋に儼守するのみである。幸福は合理的生活の所産であり、これと同様に、不幸は有形
無形に亘る一切の法則の意識的違反から発生する。 われ等の遠き前途に就きては、わ....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
いて、以後は僕等二人で引受ける、安心してくれ、なお僕等の手のとどかぬところは有形
無形のお助けを乞う、というようなことにして、足下と伸との連名で出してくれ。東京で....
「薬」より 著者:井上紅梅
して見ると、一群の人は鴨の群れのように、あとから、あとから頸を延ばして、さながら
無形の手が彼等の頭を引張っているようでもあった。暫時静かであった。ふと何か、音が....
「風波」より 著者:井上紅梅
だって彼に抵抗することは出来ない」 彼は両手をひろげて空拳を振り上げ、さながら
無形の蛇矛を握っているような体裁で、八一ねえさんに向って幾歩か突進した。「お前は....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
。竜次郎は真底から驚嘆せずにはいられなかった。 漸うしている間に竜次郎は、始終
無形の縄に縛られて、緊く繋がれたような気持がして、一歩も外へ踏み出せぬので有った....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
怪しき眼と直芳との眼とがバッタリと見合った時には、直芳は思わずゾッとして、怪しき
無形の毒矢にでも、射込まれたような気持を感じたのであった。 それで急いで反対の....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
ないが、人格完成は道を体現するによって可能となるのである。道はロゴスである。道は
無形のもので、形而上的である。永遠無窮でしかして絶対的である。この永遠無窮の道を....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
は、一回のみにあらず数回ありしかど、だれもかつてその形体を見しことなく、あたかも
無形的死霊あるいは生霊のごときものありて、暗中になすもののごとし。ただし、その怪....
「妖怪学」より 著者:井上円了
怪 物理的妖怪とは、有形的物質の変化作用より生ずるものにして、心理的妖怪とは、
無形的精神の変化作用より生ずるものをいう。 今その一例を挙ぐれば、狐火、流星、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
千年来この生を味うて得た所のものが間接の思想の形式に由らず直ちに人の肉声に乗って
無形のままで人心に来り迫るのだ」とあるは二葉亭のこの間の芸に魅入られた心境を説明....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
文明は、今日すでに欧米諸国の模範を取り、ほとんど大成すといって可なり。しかして、
無形上の文明すなわち余がいわゆる精神上の文明は、いまだ全く着手せざるがごとし。そ....