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無心
「無心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
った。一切の塵労《じんろう》を脱して、その「死」の中に眠ることが出来たならば――
無心の子供のように夢もなく眠ることが出来たならば、どんなに悦《よろこ》ばしいこと....
「母」より 著者:芥川竜之介
女は籐椅子《とういす》へ編物を捨てると、仕方がなさそうに微笑した。敏子の言葉は
無心の内に、もう一度女を打ったのである。
「お宅の坊ちゃんは、――坊ちゃんでござ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ぐ起きかえってしばらく妹たちの寝息気《ねいき》をうかがっていたが、二人がいかにも
無心に赤々とした頬《ほお》をしてよく寝入っているのを見窮めると、そっとどてらを引....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
蝶を弄んだりの件について、いや、ああ云ったがこれは何と、こう申したがそれは如何。
無心をされたがどうしたものか、なるべくは断りたい、断ったら嫌われようか、嫌われて....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
子 今日は――お客様がいらっしゃるッて事だから、籠も貸して頂けば、お庭の花まで御
無心して、ほんとうに済みませんのね。 りく 内の背戸にありますと、ただの草ッ葉な....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
れて、土に手をついて太夫様と言われたのでは、そのいわゆる禁厭の断り悪さは、金銭の
無心をされたのと同じ事――但し手から手へ渡すも恐れる……落して釵を貸そうとすると....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
た。 学士が驚いた――客は京の某大学の仏語の教授で、榊三吉と云う学者なのだが、
無心の小児に向っては、盗賊もあやすと言う……教授でも学者でも同じ事で、これには莞....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
せん、おわかりにならんと思いますから、よしますが。 もっとも、その前日も、金子
無心の使に、芝の巴町附近|辺まで遣られましてね。出来ッこはありません。勿論、往復....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
になろうと思う。……上旅籠の湊屋で泊めてくれそうな御人品なら、御当家へ、一夜の御
無心申したいね、どんなもんです、女房さん。」 「こんなでよくば、泊めますわ。」 ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
お役人の奥様かい。……郵便局員の御夫人かな。 これが旦那方だと仔細ねえ。湯茶の
無心も雑作はねえ。西行法師なら歌をよみかける処だが、山家めぐりの鋳掛屋じゃあ道を....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
「仔細なく当方の願が届くかどうかの、さて、」 と沈む……近頃見附けた縁類へ、
無心合力にでも行きそうに聞えて、 「何せい、煙硝庫と聞いたばかりでも、清水が湧く....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を。」 「冷水?」 「あの、ざぶざぶ、冷水で、この半※を絞って下さいませんか。御
無心ですが。私ね、実は、その町の曲角で、飛んだ気味の悪い事がありましてね。」 ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
なるのであったが、暖簾名の婦人と肩を並べるほど売れるので、内証で悪い顔もしないで
無心に応じてはいたけれども、応ずるは売れるからで、売るのには身をもって勤めねばな....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
通るので、浜際は、もの好が歩行くのだから、仕事をしている、布さらし、塩焼に、一杯
無心する便宜はありません。いくら俳諧師だといって、昼顔の露は吸えず、切ない息を吐....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
くの勝負と思えば、神新に気更に張る。 されば、更るがわる鈎を挙げて、餌を更め、
無心にして唯|中りを待ちけるに、一時間許り経ける時、果して鈴に響く。直ちに、綸を....