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「無性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
蹴《あしげ》にした。犬は彼が座敷へ通ると、白い背中の毛を逆立《さかだ》てながら、無性《むしょう》に吠《ほ》え立て始めたのだった。 「お前の犬好きにも呆《あき》れ....
おぎん」より 著者:芥川竜之介
大きい書物に化《ば》けながら、夜中《よじゅう》刑場に飛んでいたと云う。これもそう無性《むしょう》に喜ぶほど、悪魔の成功だったかどうか、作者は甚だ懐疑的である。 (大正十一年八月)....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
へやっと梶棒を下した時には、嬉しいのか、悲しいのか、自分にも判然しないほど、ただ無性に胸が迫って、けげんな顔をしている車夫の手へ、方外《ほうがい》な賃銭を渡す間....
或る女」より 著者:有島武郎
が目まぐるしく音律に乗って動いた。葉子はうるさそうに頭の中にある手のようなもので無性《むしょう》に払いのけようと試みたがむだだった。皮肉な横目をつかって青味を帯....
或る女」より 著者:有島武郎
どうだ冷えたにも氷のようだ」 といいながらその顔を見入ろうとした。しかし葉子は無性《むしょう》に自分の顔を倉地の広い暖かい胸に埋《うず》めてしまった。なつかし....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
を忘れた人のようにいつまでも黙って歩いた。馬が溺《いば》りをする時だけ彼れは不性無性《ふしょうぶしょう》に立《たち》どまった。妻はその暇にようやく追いついて背《....
卑怯者」より 著者:有島武郎
だ一つの手だてであるかのような気持ちがして、彼は息せき切って歩きに歩いた。そして無性《むしょう》に癇癪《かんしゃく》を起こし続けた。 「馬鹿野郎! 卑怯者! そ....
星座」より 著者:有島武郎
われるほど常住坐《じょうじゅうすわ》りっきりなその座になおると、顔じゅうをやたら無性に両手で擦り廻わして、「いやどうも」といった。それは父が何か軽い気分になった....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
、溝泥《どぶどろ》のごとき脂に面《おもて》を皺《しわ》めて、 「こら! 御覧な、無性《ぶしょう》だねえ。おまえさん寡夫《やもめ》かい」 「もちろん」 「おや、も....
親子」より 著者:有島武郎
すのかもしれないんですが、とにかく嘘をしなければ生きて行けないような世の中が無我無性にいやなんです。ちょっと待ってください。も少し言わせてください。……嘘をする....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
来たんです――夫は、私がこうするのを、お稲さんの霊魂が乗りうつったんだと云って、無性に喜んでいるんです。 殺した妹の墓の土もまだ乾かないのに、私と一所に、墓参....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
赤い切で、みしと包んだヘルメット帽を目深に被った。…… 頤骨が尖り、頬がこけ、無性髯がざらざらと疎く黄味を帯び、その蒼黒い面色の、鈎鼻が尖って、ツンと隆く、小....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
「でんでん虫、虫。雨も風も吹かンのんに、でんでん虫、虫……」 と、狂言舞に、無性|矢鱈に刎歩行く。 のそのそ、のそのそ、一面の南瓜の蔭から這出したものは蝦....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
下でいって、夫人の黒髪を両手で圧えた。 峡の婆、僅に手を解き、頤で襟を探って、無性らしく撮み出した、指の爪の長く生伸びたかと見えるのを、一つぶるぶると掉って近....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
一膳遣附けるぜ。鍋の底はじりじりいう、昨夜から気を揉んで酒の虫は揉殺したが、矢鱈無性に腹が空いた。」と立ったり、居たり、歩行いたり、果は胡坐かいて能代の膳の低い....