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無情
「無情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
ゴタへひかれて行くクリストが、彼の家の戸口に立止って、暫く息を入れようとした時、
無情にも罵詈《ばり》を浴せかけた上で、散々|打擲《ちょうちゃく》を加えさえした。....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
る。線香を立てて死人扱いをするのがかあいそうでならないけれど、線香を立てないのも
無情のように思われて、線香は立てた。それでも燈明《とうみょう》を上げたらという親....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
はばか》り、一言の詞《ことば》もかわし得ないで永久の別れをしてしまったのである。
無情の舟は流を下って早く、十分間と経たぬ内に、五町と下らぬ内に、お互の姿は雨の曇....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
。 それですからって、あんな所へ牛を置いて届けても来ないのは不都合じゃないか。
無情冷酷……しかも横柄な駅員の態度である。精神興奮してる自分は、癪に障って堪らな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
早瀬。」 と苛々した音調で、 「是も非も無い。さあ、たとえ俺が無理でも構わん、
無情でも差支えん、婦が怨んでも、泣いても可い。憧れ死に死んでも可い。先生の命令だ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ことはないけれど、ちょっと片意地に陥るとわが子も何もなくなる、それで通常は決して
無情酷薄な父ではないのである。 おとよはだれの目にも判るほどやつれて、この幾日....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
て、兄はほんの少しだって、彼の失恋に同情心なんか起し得なかったのです。それは兄の
無情のためというよりも、笛吹川画伯の態度があまりに同情を受けない程度の憎々しさに....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
て美しい花だこと。」というかもしれぬ。だがね、これが親切なことだろうか。お前が、
無情なやつだと承知している者の髪の中に閉じ込められたり、もしお前が人間であったら....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
つ音としては水の雫の滴る音がするばかりで、他に何の異状もないように思われた。魯鈍
無情の鴉の声が、道路傍の住家の屋根の上に明け方の薄霧を綻ばして過ぎた。 大溝の....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
、 「何だ、状は。小町や静じゃあるめえし、増長しやがるからだ。」 手の裏かえす
無情さは、足も手もぐたりとした、烈日に裂けかかる氷のような練絹の、紫玉のふくよか....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
苦しんだということが、まるで無視されて、ただ私一人のわがまま勝手から、そのような
無情な真似をすると思われるのは、私にとってはどう考えても残念でたまりませんでした....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
い乾漢の阿法陀羅権次。博徒が本職の偽坊主で有った。 立木台下の農家が悉く二人に
無情なのも、皆お鉄の声が掛ったからと分った。 「さあ、私の威勢は這んなものですよ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
霊珠を弾了して宿冤を報ず 幾幅の羅裙都て蝶に化す 一牀|繍被籠鴛を尚ふ 庚申山下
無情の土 佳人未死の魂を埋却す 犬江親兵衛 多年剣を学んで霊場に在り ....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
つけました。せめて一と目でも見てやって頂き度いと、再三お願いしましたが、旦那様は
無情にもそんな覚えはない、と、一言のもとに吻ねつけておしまいになり、可愛いい松吉....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
きずり込むようで、いつかぐっすりと眠りこけてしまった。 どのくらいたったか私は
無情にもたたき起こされた。賛美歌の声に送られながら私は再び夜の町に追い出されたの....